第2話 ※ 心を抉る饒舌で毒舌な矛
(恐ろしい事が起こる気がする。
勇気がなければ引き返そう)
「(カタカタと手足を拘束する枷の音・上方から液体が足下へと滴る音)百を超える人の壊れ方を見て来たけれど、過剰な痛みや苦しみを使った方法は一通り終えてしまった。そこで
「
(背後から聴こえた筈の音が前から聴こえたり右から聴こえたりと感覚が狂い、全ての音がくぐもり反響して聴こえる貴方)
『どうかしら〜? (耳が暖かい何かに包まれて圧迫され、串刺姫の声が頭の中で響く)体感覚と認知を混乱させる魔法を受けた感想は——(単語が切り替わる毎に聴こえる方向が変わる)(声は全て串刺姫だが、それぞれ別人が喋っているように声音や話し方がガラリと変わる)「辛い?」「心地良い?」「分からない?」「どうして?」「あの時…」「楽しい?」「ねぇ」「助けて…」「ちゃんとして?」「そもそも」「怖い?」「震えが…」
「なんで何もしてくれなかったの」
』
(指を鳴らす音が響き頭がスッキリする)
「(右耳の側から)随分と身体に反応が出るのね♪ それに「違う」「ごめんなさい」って繰り返していたみたいだけれど、誰か私以外の声でも聴こえた? (小刻みに枷と金具が擦れる音)もうやめて欲しい? …フフフ(昂りを抑えた声で)だぁめ♡ まだ始まったばかりよ。それに、肉体に負荷を与えたわけでもないのにこんなに反応していて興味深いもの…」
(懇願虚しく指を鳴らす音が響き感覚が狂いだす)
『(左耳からは串刺姫本人の声が聞こえ、右耳からは声が同じ別人「」の声が聞こえて来る)
はぁあぁー(吐息) 「寒い…」
悪い子ね… 「本当にそう!」
私を失望させかけるなんて「あっちは」』
『(左耳からは耳や耳の周りを指が撫でたりタッピングするような音が不規則に聴こえ続け、右耳からは串刺姫の声をした別人達の声)
「全て虚しい」
「星が見えるよ!」
「中途半端が一番迷惑なんだよねー」
「間違えた」
「君、誰?」
「まだいたんだ」
「何だかにゃあ」
「お願いします!!」
「それはちょっと…」
「無理なもんは無理だよ」
「こらこら」
「何がしたいんだよ?」
「やめてって言ってるでしょっ…!!」
「しつこい」
「やっぱいいや」
「はぁ(長い溜息)…そっか」
「あーあ、君を選んだのは失敗だったな」
』
(指を鳴らす音、頭がスッキリし声が消える)
「(正面から昂った串刺姫の声)凄いわ! 喉にも肺にも刺激を与えていないのに、こんなに呼吸は乱れ全身から滝のように汗が流れているなんて… 心と身体は深く繋がっていると思っていたけれど、お前のお陰で確信出来たわ。(狂気的な微笑み)アハハハハ、ハハハハハ!!」
(指が鳴り、感覚が狂う)
『今度はこっち〜♪ (右耳から不規則に甲高いが不快ではない金属音)(左耳から串刺姫の声の別人達)
「何でなのかしら?」
「出来ないんだ」
「もう結構ですので」
「おいおい」
「余計な事しないでね?」
『頑張って』
「もーいいって、ホントに」
「バカだなマジで」
「諦めも肝心って言葉知ってるかい?」
「やめて…お願い」
「どうしていつもそうなんだ」
『
「見て見ぬ振り、ね」
「なんで白シャツで坦々麺なんだよ」
「センスねーのな」
「貴様は何をやっていた? 答えろ!」
「やっぱり」
「最低だよ、アンタ」
』
(指が鳴り頭がスッキリする)
(貴方の歯が凍えた時のようにカチカチと小刻みに震えて鳴る音)
「(貴方の頭を撫でながら右耳に優しく囁く串刺姫)お前、最高よ! 普通体感覚と認知を狂わされると、大抵の人間は10秒と掛からずに完全な抜け殻になってしまうんだから。それを10分以上も受け続けて尚精神を、心を元のまま残しているのだから…」
「フフ、解っている。幾ら私が我慢弱い性格であっても1日目でオモチャを壊してしまうほどではないわ。だから…」
「もうちょっとだけ♡ 続けさせて…」
(指を鳴らす音が響く)
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