ED 1:輝かしき未来

(座に掛ける串刺姫が拍手する音)


「(落ち着いた声音で)…はあ、おめでとう。そして7日間、ご苦労様。初めての黒星を記念するのがおまえで良かったとすら、ゲームが終わった今では思えてしまうわ。(楽しそうに)何でかしらね、フフ」


(近づいてくる串刺姫の足音)


「約束通り、おまえは晴れて帝国の高級貴族となり…広大で肥沃な土地と小国の国家予算程度の金を得た。(正面から囁く串刺姫の嬉しそうな声)…これで、第3皇女と結婚出来る程度の地位についたわね♪」


(衣擦れと紙の旗めく音)


「じゃじゃん。此方の契約書に見覚えはあるかしら? あるわよねー?」


「(楽しそうに)正解♪ これは婚約に関する書面よ。おまえの名前の上に、わたくしの名前が記されているでしょう? 最初にも言ったけれど、契約書や書面の内容はよく確認した上でサインしなければいけないのよ?」


(暫し静寂)


「(心底愉快そうに)…ッフフ、アッハハハハ!! はぁ〜〜…冗談よ♪ これはおまえに預けておくわ。…え? これを捨てないで持っていたら?」


(貴方のすぐ目の前に歩いてくる串刺姫の足音)


「(穏やかな囁き声)書面状は正式な婚約者になっているけど、ぽっとでのおまえを貴族院や皇帝陛下が認めるかは甚だ疑問ね…(左耳だけに囁く声)もっとも、もしおまえが本当にわたくしと結ばれたいと真心から思っているのならば…わたしは…」


(後退る串刺姫)


「いいえ、何でもないわ」


(座に掛ける串刺姫)


「(淡々と話す串刺姫)しかし悪名高いわたくしと懇ろにしているなんて事実は、おまえが社交界に入ればすぐさま露呈し拡散されてしまうわ。つまり、例え正式な貴族になったとしておまえの先行きは決して明るいだけのぬるい道ではないわ」


「(面白そうな声で)どーする? 自身の領地に引き篭もってわたくしに通い妻? という奴をさせて生涯を終えるもよし。領地も爵位も捨てて、普通の生活を送ることも今ならまだ…出来るわよ?」


「(拍子抜けした声)…貴族程度捌けないようでは、将来皇帝になる予定のお嫁さんの隣に居続けられない?? (楽しそうに)フフフ、ッハハハ! ハァ、そう♪」


(ゆっくりと歩いてくる串刺姫)


「(貴方の目と鼻の先で囁く串刺姫)せいぜい期待しているわ、未来のお婿様♪」

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