2024年8月8日
ふとした瞬間に人のことをさっと救い上げてしまう作品がある。出稼ぎ業の木こりの少年が堀辰雄の「風立ちぬ」を何度も何度も読み返していたという文章を読むにつけ、私を救った創作物は一体何だったろうと思い返す。
思い出せない。
頭がいっぱいで整理できない時は忘却されていくにまかせて、一番最後に残ったものだけを処理するのだけれど、そういう生き方だと大抵のものを取りこぼして怒られる。だけど情報処理能力がひどく落ちている今の私では「ぜいきんはらわなきゃ」がせいぜいで、この文章だってひとつひとつ記憶の糸をたどって思い出しながら書いている。生きるのに向いていないからろくでもないことを考えるが、ろくでもないことは多大な迷惑をかけるのでやめる。そういう文章しか今は書けない。
記憶力も、感情もおしまいになっている。
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