2024年7月17日

 書き始めようと思った物語が一向に指先から出てこないとき、私はいったんルーズリーフとボールペンまで戻って要素を書き出したり整理したりするのだけど、何度その作業をやっても抽出できない何かがそこにはある。多分それはライブ性だ。ライブ感だ。語り部が考え言葉を選びながら紡ぐ物語みたいな即興性だ。ちなみにこれは即興で書いているのであんまり考えてないし推敲も誤字を直す程度のものになるだろう。ライブ感のある文章を書きたいし、それでいて豊かでほどよい堅さを持った文章を書きたいのだが、チューニングに必死で内容までたどり着かない。


 チューニングしているとき、とにかく理想とする文章を読んで読んで読みまくって、新しい文体を作るための土台にしていく。

 小川洋子と村上春樹と森見登美彦は読んだだけで文体がうつる三銃士(個人の感想です)だが、それとは全く違う地平を切り開いて行かなければならないので、もうとにかく何でも読んでみるしかない。

 何でも読むので、「遠野物語」を読んだ。最近、遠野に行ってカッパぶちを見てきた。ある場所にキュウリが釣り竿にくくりつけられており、川の流れにそよそよと揺れている。川は清涼で浅く、カッパが隠れられそうなところはなかった。綺麗に整えられた川岸のあちこちには私達のような観光客がたくさん居て、おのおのカッパを探していた。私もカッパを探した。しかしキュウリしか見えなかった。キュウリ、川のせせらぎに流されていく緑色の細長い物体。

 なお遠野カッパは赤いと聞く。しかし赤はおろか緑も見つからなかった。


 そして、カッパから着想した小説を練る。文体の練習にも良いかもしれない。

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