生きる希望を探す物語

氷の国で災害や異能力者の対応に当たっていたイルマタルは、『盾の乙女』の異名を誇っていました。
そんな彼女は、火の国で『竜提督』と呼ばれる海軍総督・アマドから、突然結婚を申し込まれて、上の空でオーケーしてしまいます!

実は二人は過去に出会っており、そこには薄暗い事件とアマドの生い立ちが横たわっています。
しかし、アマドはイルマタルと出会ったことで生きる理由と希望を見いだし、彼女を愛するようになるのです。

この物語は地球の情勢を喚起させる設定がいくつもあります。
温暖化問題、環境破壊、難民問題、戦争、テロ……、様々な出来事がストーリー上にちりばめられ、それが登場人物の立場にも大きく影響してきます。

そんな中で、苛烈な過去を持つアマドは世界の秘密に近づきながら、イルマタルために行動を起こします。
すべては彼女の幸せのために。

イルマタルの身の上も非常に深刻なものです。
イルマタルの能力と世界情勢が密接に絡み合い、彼女は苦しみます。

イルマタルは、人に価値はないけれど、人生に希望があるから生きていたいと思うのだ、と言います。
そして、誰かを犠牲にして救われる世界は、救いでも何でもない、とも。

それはアマドに対して言った言葉で、アマドの救いになります。
同時に、それはイルマタル自身が抱える問題に対する、彼女自身の問いかけのようにも感じられます。

果たして、アマドの悲しい過去とは何か、イルマタルの境遇とは何か。
是非、本作をお読みになり確かめてみてください。

厳しく苛烈な設定ですが、そこに希望があれば生きる意味になる。
これは、そんな希望を探す物語なのかもしれません。

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