セピアに、さよならをして

 ただ美しいとか、ただ爽やかだとかいった内容だけでは収まらない世界観が広がる一方。

 やっぱり、ただただ美しくも爽やかだ。

 地底社会の中で、相手の夢にだけ現れる海を共有するというのは誰にでも着想できるものではなかろう。その非凡な閃きを受けて、それまで地味の一言に終始していた主人公の人生が輝き始める。

 二人の、ひいては人類の行く末に幸いあれかし。

 詳細本作。