第7話 再会
全員そろったので、俺たちは席についた。
女性陣の席順がなんとくな決まったところで、俺は目当ての黒髪の子の前に陣取った。
他の男二人は一瞬「あ、このヤロー......」という表情をするが、すぐに何食わぬ顔で残った席に座ってくれた。
「それじゃ、とりあえず自己紹介を始めようか」
男側の真ん中に座った三嶋が場を取り仕切る。
「じゃあ、そっちの端から交互にやっていこう」
三嶋がそう言ってもう一人の男の方に視線を送り、自己紹介が始まった。
「俺、
阿部修也は、細身に茶髪のロン毛でいかにもバンドマンといった雰囲気の男である。
阿部とは中学から一緒だったが、そこまで絡みはない。
俺は音楽にはさほど興味がないので阿部とはあまり話があわなかったのだ。
阿部の次は、阿部の向かいの子が自己紹介する。
女子の中で、1番最初に来たあの一番遊んでそうな子だ。
「
俺は「あー、なるほど」と納得した。
三嶋の言ってた“3on3”ってこういうことね......
ちなみに三嶋もバスケ部だ。
今回の合コンは、おそらく三嶋がバスケ部繋がりで相手方の幹事(たぶん雰囲気的にこの里見愛だろう)とセッティングしたのだろう。
いいなー、バスケ部......
バスケ以外は、こんなことばっかやってんのかなー......
おっと、僻みはこの辺にしておこう。
次はまた男側に戻って三嶋が自己紹介する。
「
三嶋はそう言って、女子たちに柔く微笑んだ。
三嶋は特段顔がいいというわけではなく、平均の若干上といったところだ。
だが、三嶋はそれだけでなく、運動神経も勉強の成績も、話の巧さも、身長も、服のセンスも、何から何までぜ〜んぶ平均のほんの少し上というヤツなのだ。
なんというか、全部計算しつくした上で自分を作り上げているようなフシがあり、長い付き合いながら、三嶋のこういうところはとても忌々しい。
「え......」
三嶋の自己紹介に、俺の向かいの黒髪の子が驚きの表情を見せる。
「ミシマ......君......」
黒髪の子は何かを思い出すように三嶋の名を呟いた。
「もしかして......小学校、練馬の朝日が丘だった?」
その名前に三嶋も俺も目を丸くする。
練馬区立朝日が丘小学校。
俺たち二人の卒業校だ。
「ああ、そうだけど......」
三嶋の答えに黒髪の子は、ぱあっと表情が明るくなる。
「やっぱり!! 私だよ!! 2年のときまで一緒だった
その名を聞いて、三嶋が驚きの声を上げる。
「あーっ!! 小井住か!? 2年の夏に転校した!?」
「そう!! そうだよ!!」
「うわっ、懐かし!!」
三嶋と小井住綾那は、互いに感激の声を上げている。
一方の俺は、固まっていた。
そして、思わず呟いてしまった。
「アヤナ......」
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