咲き誇る彼岸花のごとく

異能を失った主人公の嘆きに呼応し、その存在は現れた。いとこにも両親にも散々な扱いを受けた不憫な彼女の前に現れたのは祟り神――けれど、それは美しく、そして主人公だけを愛してくれる。

時代にあった美しい文章で描かれるのは、愛か執着か、そして救いか。
堕ちてしまったものは最早戻れず、それでも得られるものはあったのだろうか。

咲き誇る彼岸花。彼岸か、悲願か。
この美しき彼岸花咲き誇る物語を、ぜひご一読いただきたい。
彼女の、そして取り巻くものたちの、辿り着く先。その行いによって救われないものがあるとしても、やはりこれは愛と救済と解放の物語であると勝手ながら思うのです。