異能を失った主人公の嘆きに呼応し、その存在は現れた。いとこにも両親にも散々な扱いを受けた不憫な彼女の前に現れたのは祟り神――けれど、それは美しく、そして主人公だけを愛してくれる。
時代にあった美しい文章で描かれるのは、愛か執着か、そして救いか。
堕ちてしまったものは最早戻れず、それでも得られるものはあったのだろうか。
咲き誇る彼岸花。彼岸か、悲願か。
この美しき彼岸花咲き誇る物語を、ぜひご一読いただきたい。
彼女の、そして取り巻くものたちの、辿り着く先。その行いによって救われないものがあるとしても、やはりこれは愛と救済と解放の物語であると勝手ながら思うのです。
ヒロインは、異能の一族の跡取りとして生まれたけれど、ある事件をきっかけに、人より強かった異能を一切失ってしまいます。
そして、まあ、性根の曲がり切った従姉妹からは虐められ、異能にしか興味がない両親からは、さんざんにあつかわれ、もう、本当に不憫。
そんなどん底のヒロインの前にあらわれたのは、見目麗しく、ヒロインだけを溺愛する祟り神。
とことんヒロインに甘いです!
美しい文章でつづられる、甘々の世界。うっとりです。
物語は、いくつかの謎をはらんでいます。
なぜ、ヒーローは祟り神となったのか。
曼珠沙華の花の精の謎。
ヒロインを守ろうとする兄が仄見せる、目に宿る狂気……。
ヒロインに意地悪してきた人たちが、因果応報となり、読者の溜飲が下がるシーンもしっかり用意されています。
飽きずに、読み進められますよ!
ぜひ、ご一読を!