脱獄日記

@kizukai

第1話

「起きたか」


鈍く低い声が部屋の中に響き渡った。

どうやら俺は長い間眠っていたようだった。

辺りは非常に暗く、ひんやりとしていて声の主の顔もよく見えない。


「...は?」


俺はなんとも間抜けな声を出してしまった。

無理もない。

朝かと思い突然目を覚ましたら部屋は真っ暗、おまけに知らない奴が目の前で突っ立ってるときた。

困惑するなと言われる方が無理な話なのである。

何から質問していいのかわからないが、とりあえず何かしら聞いてみよう。


「ここはどこですか」


恐る恐る聞いた。

今まで困惑で消えていた恐怖感が一気にのしかかってきた。

目の前の奴は少しの間黙り込んでからこう言った。


「そんなこともわからないか」


呆れたように言った。


いや、 わかんないだろ!

逆にこの状況を一瞬で理解できる奴いないと思うよ?!

だからそのまま思ったことを言った。


「そりゃそうでしょ」


そいつは大きなため息をついた。

わざとらしい。

なんなんだこいつ。

などと思っていたら、


「まあいい。待つのも面倒だから教えてやる」


感謝するんだな とかほざいている。


「ここは刑務所だ」


「はぁ..」

「........はぁ?!」


俺は自分の心の中で思っている通りに声を出してしまった。

当然である。

朝起きたら刑務所に捕まってましたー

なんて洒落にもならないのである。


俺はこの時まだ知らなかった。

こいつとの出会いが、俺の人生を大きく狂わせることを

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