第10話
看守が近くにいるかもしれないので慎重に進む。
「さて、次はこの部屋に入ってみよう。」
小声で指示して入ろうとするこの部屋は、懲罰房から、少し進んだところの長い廊下にあった部屋の1つである。
「業務用連絡室?脱獄に必要な情報が入ってそうじゃないか?!」
「でもちょっと危なくないすか?誰か作業してるかも」
確かにこんな所をうろちょろしているのが見つかった時点で一発アウト。最悪すぐに処刑になる可能性もある。だが、
「中に誰もいなさそうだ。入ってしまおう。」
そう言って3人とも素早く中に入った。
すると、
「すごい量ですね。これほど長い歴史があるのでしょうか。」
広い部屋に壁一面にある本。というより業務者の連絡用の日記だろう。
何かわかるかもしれないので色々読んでみることにした。
相当の量なので相当時間を使っても3分の1程度しか読めていないが、これで1つ分かったことがあった。
「ここに書いてある倉庫ってとこでさ同じような悩みが多いぞ。」
「どれっすか?」
見てみると、そこに書いてあったのは、おそらく誰かの日記だろう。
『最近倉庫で正体不明の声が聞こえるんだよな。これがポルターガイストというものだろうか。しかも何度も確認されている。倉庫は暗いからあまり行きたくないけど、今度調査をしてみよう。』
「倉庫...どこかで見ましたか?」
「見てないっす。」
「おそらくまだ俺たちが行ってない所だろうな。」
そう言いながらペラペラとページをめくっていく。
...でもなんだろう。なんとなく違和感があるというか...
などと考えていると、
「そろそろ看守戻ってくるんじゃないっすか?ここで結構時間も潰しちゃったし」
「そうね。まだ後45分くらいあるけど、看守の仕事が早く終わって早めに終わる。ということもなくはないでしょうから、早く戻るに越したことはないと思います。」
確かにその通りだ。もう少し色々見てみたいが、我慢するとしよう。
そう言って俺たちは業務用連絡室を後にした。
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