第6話

「すまんすまん。まあたいして問題じゃないだろ。じゃあおやすみ。朝早いから早く寝ろよ!」


なんでたまに優しいんだよ。

ってかそうじゃなくて、


「ちょっと?!ちょっと待てよ看守ーっ!!」


...行ってしまった。

なんであいつは肝心なことを最初から言わないんだ。

しかし予想外だな。俺の他にも罪人がいるなんて。

3人だったら脱獄がスムーズになっていいかもしれなが、そもそもその2人が脱獄をしようと思ってくれるかが問題なんだよな。

...なんかもう眠くなってきたから寝よう。看守も明日早いって言ってたし。

これから毎日だけど。

明日のことは今日考えるな!!

これが俺の自説(言い訳)である。

ということで、good night!!



翌朝

目覚まし時計が鳴って起きた。

牢の布団の寝心地は...まあまあだった。

良くも悪くもないという感じ。

というかそうだった。

新しい2人が来るんだった。

俺も新しいけど。

つまりこれから会う俺たち3人は同期ということか!!

つまり俺たちは、刑務者同期!?

なんて不名誉なんだ。

そんなことを考えながら支度をしていると、

看守が来た。


「起きてるな。ということで広場に行くぞ」


いよいよだ。

ついに、運命の時だ。


「相変わらず広いな...」


思わず口から出てしまった。


「お前の刑務者同期はしばらくしたら来るから待っててくれ。」


やばい看守と同じ思考だ。

詰んだ。


「...おっと。噂をすればだな。」


後ろから足音が聞こえる。

ついに来たか。

さあ、どんなツラしてんのか拝ませてもらおうか!

そう思いながら勢いよく振り向くと...


「あぇ?」


めっちゃ変な声出ちゃった。

恥ずかしい。っていうかそうじゃなくて!!


「達也じゃん!!!」


「真先輩!!!」


そう。そこにいたのは俺の大学の後輩だった、坂井達也だ。


「お前、なんでこんなとこいるんだよ?!」


「先輩こそ!ていうか僕はこの変なライオンに朝起きたらこんなとこまで運ばれてたんっすよ!!」


なるほど...達也は俺と状況が全く同じなわけだ。

これ以上何を聞いてもわからないだろう。

...待てよ?こいつが来ていて後1人って言ったらあいつしかいないだろ。

そう。あいつというのは近藤海。

俺のタメで、俺と達也と海の3人でよく遊んでいた。

背後からまた足音が聞こえた。

ふっ。もう引っ掛かんないぜ!!


「よう!海じゃん!!どうしたのーこんなところで!」


自分でも驚くくらい棒読みだったが、それより重大なことが起こった。

俺が今思ってることはただ1つ!!


「あんた誰?」


全然知らない人でした!!てへぺろ!!

なぜか達也にめっちゃ見られた。

目の前にいたのは、女子。背はまあまあ小さい方で、若干ハーフじみた顔つきもしている。


「...あなたこそ、どなた様でしょうか?」


知らないでーす。

知らないから聞いてるんでーす。


「ということで!!お前ら3人揃ったな!ということで、刑務所生活...

スタートだ...!」

看守がそう言った時、広場の前の門が開いた。

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