第2話

名乗るのが遅くなってしまったが、俺は新田真だ。大学2年生の現役学生だ。

って、1人で何やっているのやら。

とうとう頭までおかしくなってしまったようだ。

暗さに目が慣れ、目の前の奴の顔が見える。

はぁ

もういいや もう何も考えたくない。

ここまで疲れたのは入試勉強で3日連続徹夜した時以来だ。


目の前にいたのは ライオンだった。

そう、ライオン。

あのライオンである。

正確には顔以外がスーツを着た人間で、顔だけライオンだった。

なんか刀っぽいものも持ってる。


「あんた人間じゃなかったのか」


ここでは動物も喋るらしい。

ここまで来ると困惑というよりも呆れだ。

もうこのまま俺を食べてくれないかな

とか本気で思える。


「ああ、これは被り物だ。」


被り物かよ!!

ていうか他に聞くことがあるんだった

「あんた誰だよ。」


「さっきから何度質問してるんだ。いい加減答えるのも面倒なんだが?」


「...」


なんなんだこいつは。

常識というものを知らないのだろうか。


「私は看守だ。お前のな」


看守...まあ見張り役とでも思っとけばいいのか。

てか面倒とか言って普通に答えてるし...


「...わかった。それで、俺はどんな冤罪をかけられてここにいるんだ?」


最後に聞きたかったのはこれ。

どうやってこんなとこまで俺を運んできたか知らないが、もうこっちも面倒だから聞かないでおく。

俺は何もやらかしてないし、捕まる理由なんて微塵もないはずなのだがなぜかここにいる。

冤罪以外になんだというのだ。


「...そんなことも覚えていないか」


そりゃそうでしょ!

だって何にもしてないし


「だって何もしてないじゃん」


思った通りの言葉が出た。

看守は深くため息をついたあと、こんなことを言った。


「それくらい自分で思い出しとけ。どうせすぐ思い出すだろ笑」


はい?いやいや、さっさと教えろよ。

何が笑だよ


「なんなんですか?それくらい教えてくださよ!」


自分でも看守に相当キレているとわかった。


「うるさい。そもそもなぜ罪人の貴様が看守の私に敬語を使わない?これ以上舐めたマネをすると...」


「すると?」


思わず聞き返したのがまずかったのかはわからないが、


「斬首だ」


看守はそう言い、刀を抜いた。


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