犬と魔法と冒険譚。プルプルほっぺを揺らして、いざゆかん!

第一部まで読了したレビューになります。
気づいたら4万字を読み終えていました。久々に読書が楽しいと思えた気がします。強いて言うなら紙で読みたい。そんな欲求が湧いてきました。

英雄王マリクと魔女ジャナンの冒険譚が大好きなプルプルほっぺの少年ジュサーレ。気弱で優しい彼がある日突然特異な力に目覚めて故郷を追われることになり、冒険が始まります。大好きな近所の野良犬、ジャナンと一緒に。

旅を先導するのは英雄マリクを旅へ導いた人物と同じ名前のタルカン。そして護衛のデミルお兄さん(本編を読むとどうしてもデミルのことはデミルお兄さんと呼びたくなるのです)、そして魔女マギサを目指す少女セダ。

見るもの全てが真新しくキラキラと見える旅路に胸が躍り、一方で迫る追手との手に汗握る攻防戦もあり。このワクワクとドキドキを表現する「優しい文章」が児童文庫の良いところだなぁとも思ったりしました。WEB小説によくあるわかりやすいチートやざまぁのワクワクではなく、風景や呪文などの純粋なファンタジー要素を楽しむワクワク。派手で一方的な戦闘ではなく、少年少女が持つ最大限の勇気で立ち向かい、怯え、勝利するドキドキ。それを計算して構築している作者様の筆力の厚みにただただ敬服です。誰にでもわかりやすく書くことって、あえて難しく書くことよりずっと難しいと思うのです。
それと『英雄王マリクの冒険』を片手にジュサーレの旅を見守っているような気分になれるギミックも面白い!ジュサーレの世界にマリクの冒険譚がどうリンクしてくるのか、これからも目が離せません!

素敵な冒険の時間をありがとうございました。小説賞も良い結果になることを全力で祈ってます!

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