剣と魔法と竜と自動人形と転生モノ。設定が美しく織り合った濃厚な物語!

最序盤こそ未来の話が入りますが、物語は主人公が幼少の頃からスタートします。

一章は主人公が復讐心のまま、仇を追って国そのものと戦うお話です。
登場人物もほぼ男となっているくらい、とても骨太な展開でした。
このままシリアス調で行くのかなと思いきや、
二章からはちょっと緩まり、隣国からの女性留学生とのほのぼのドタバタしたシーンも増えていきます。
ただ彼女達も物語の根幹に関わっていて、というのが最新の状況でしょうか。
総合的にはシリアスもまったりも、どっちもイケる作風でした。

キャラクターについてですが、何と言っても、主人公の少年(後の王様)が格好いいのです。
具体的に言うと、死に別れた(?)恋人の幻影を追って行く感じが、すっごく良いです。
それ以外のもの(地位や名誉)は興味が薄いのに、幼い頃に出会い守ってくれた女性のことが忘れられない、一途な男なのです。
人間離れした能力や感性を持ちながら、人間らしい執着心が同居した、とても魅力的なキャラクターですね。
留学生の女生徒達もキャラが濃いと言いますか、祖国も含めて凄く込み入った事情を背負っています。
それでも日常シーンでギャップを作って辛気臭くならない辺り、話の転がし方もお見事です。

世界観もとても壮大でした。剣と魔法と竜と人形(ロボ系)と転生が行き交う、とても奥が深い設定となっております。
こういう設定は足せば足すほど、話をまとめるのが大変なんですよね。
でもしっかりと説明は入りますし、何をやってるのか、何がどうなっているか、その辺はしっかり伝わってきます。
ちゃんと設定ありきでお話を成立させているあたり、作者様の筆力が窺えます。

設定も世界観も、幾重も綺麗に積み重なった濃度の高い異世界系ファンタジーでした。

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