14
「お前のことが好きなんだ、桜!」
「嬉しい、私もよ勝さん!」
互いに激しく求め合い、そして激しく抱き締め合った。そんな熱い男女を傍から見つめる僕。辺りは真っ暗な闇に包まれている。そんな中で彼女達にスポットが辺り、闇の一部と化している僕にまざまざとその光景を見せつける。だが、一つ確かなことがある。僕はその光景を見て、見せつけられて、何とも思わないのである。もちろん、「あ、くっついた」とかその程度の感情は抱くが、それも些末なものである。動かざること山の如し、とでも言おうか。高潔なる僕の精神はそのような男女の有様を見ても、ぴくりとも動かない。まあ、仮にここでエッチな行為にでも走れば、感情はともかくお股の辺りがほんのわずかばかり反応してしまうかもしれないが、まあさすがにそんなことをしない分別くらい彼らにもあるだろう。暗闇に佇む僕は、小さくパチパチと拍手を送った。あの人外カップルが、精々幸せな日々を送れますようにと。僕は紳士として当然の賛美を送った。それだけのことである。
◇
僕は基本的に真面目な学生であるが、止むを得ない事情、例えば二日酔いや予想外のハートブレイクショットによって疲労困憊した時、大学の講義を休むことがある。しかし、ひとたび出席をすれば、その場で眠りこけるなんて真似はしない。以前、キャンパス内で「いや、大学の講義なんて寝るための時間でしょ」とかほざいているアホ丸出しの「リア充」がいたが、僕は決してそんな真似はしない。大学の講義とは勉強をする時間である。当たり前のことだが。僕達は親に高い授業料を払ってもらっているのだ。勉強をするために。それにも関わらずその肝心の授業で眠りこけてしまうなど正に愚の骨頂。そのまま幸せの頂きから滑り落ちてしまえば良い。僕はその様を大いに笑って見ていてやろう。そう思っていた。
おもむろに顔を上げると、腕の手首に近い辺りが痺れるように痛いことに気が付いた。そして、普段は凛々しく締まっている僕の口元から、あろうことかよだれが垂れていたのだ。そして、目は軽くひりつくような感覚がある。これらの状況証拠から察するに、僕は居眠りをしていたのだろうか。いや、まさかこの僕が。愚かな「リア充」と同等の下等な行為に走ってしまうなどあり得ないことだ。しかし、今しがた確認した証拠達は、「いや、あんた居眠りしていたよ」と語りかけて来る。まあ、僕の錯覚であるが。しかし、胸の内に激しい自己嫌悪の念が湧いているのは事実だ。つまり僕が居眠りをしていたことも、どうやら事実のようだ。
時計に目をやれば、時刻はちょうど二コマ目の終了時間を差していた。講義をしていた教授も終わりの合図を出し、学生達は席から立ち上がってぞろぞろと講義室から出て行く。いつもなら僕は真っ先にこの有象無象が蔓延る空間から脱出を試みるのだが、今はただ虚ろな脳みそでぽかんとしていた。しばらくそうしている内に、誰もいなくなっていた。まあ、普段から僕の周りには誰もいないから問題ない、などとのんきに自虐っている場合ではない。ふいに意識を覚醒させた僕は席から立ち上がり、講義室から飛び出した。普段から理知的でクールで落ち着いている僕はキャンパスを走ることは無い。だが、今は猛烈な勢いで走っていた。呆けていたことで、電車の時刻が迫っているのだ。僕は息を切らせながら精一杯走った。先日受けたダメージのせいでその走りも鈍い。情けなくも涙がこぼれそうになったが、命からがら電車に乗り込むことができた瞬間、「おお、神よ」と口走ってしまう僕は大概純粋ボーイである。慶応ボーイよりも価値が高いと自負している。
ガタンゴトンと電車に揺られること十分、僕のアパートの最寄り駅に到着する。そこから歩くこと十五分、僕のアパートにたどり着いた。鞄を床に放り投げ、ベッドに仰向けに寝転がった。瞬間、僕は久方ぶりに心に平穏を取り戻した。たばこのヤニによって侵されていない白い天井を見つめていると、僕の乱れた心が優しく研ぎ澄まされるようであった。昨今、ひきこもりがどうのこうのと言われているが、僕は彼らを責めることはできない。自分の部屋とはこの世で一番居心地の良い場所であり、最高の城なのである。特に男は自分の世界観を大事にする生き物であるから、その城の城主として君臨し続けたいと思ってしまう。その結果として、ひきこもりになってしまうのだろう。外界に出て汚れることに嫌気が差し、ただひたすらに自分の部屋で自己を高めているのだ。僕はそんな彼らに一種の尊敬の念を抱いてしまう。少なくとも、愚かな「リア充」よりは遥かに。僕も文学まみれの自室にひきこもってみたいと思ったこともある。しかし、僕はこの汚れた世界にまだ少なからず希望を見出し、捨てたくないと思っている憶病者。だから、彼らのように思い切ってひきこもることはできない。常日頃から己を清廉高潔な紳士と謳っている僕も、何だかんだで未熟者なのである。
時刻は昼を回っているので、生理現象によって腹が鳴る。胃袋がもう空っぽですよと泣いて告げて来る。僕としてもそろそろ何かを食したい所であるが、如何せんベッドに背中が貼り付いてしまっているようで、中々起き上がることができない。この倦怠感は非常によろしくない。しかし、これはある種の好機かもしれない。この機に僕も遥か遠くアラブ国の「断食」に挑戦してみようかしらん。ただ、こんなお手軽感覚で始めたなんて言ったら、本気でやっている彼らに殺されかねないが。まあとにもかくにも、今の僕は心身ともに疲れ切っており、泣き喚く胃袋ちゃんに食を提供してやることもできない体たらくっぷりなのである。こんな生活が許されてしまうから、大学生は「半ニート」あるいは「ニート同然」などと揶揄されてしまうのだ。
腹の中が空っぽなことで、むしろ精神が研ぎ澄まされて来た僕はそんな風に自虐っていたのだが、ふいにピンポーンと玄関のチャイムが鳴ったことで、心地の良い自虐りタイムは終了した。今の僕の状態からして、当然ながらすぐにベッドから起き上がり、「はーい、どちら様ですか?」などと出て行くことはできない。そのため、僕は即刻居留守を行使することに決めた。
さて、そうと決まれば早速自虐ピンポーンろう。僕は未熟者ピンポーンなのだとピンポーン自覚ピンポーンしよう。その上で、僕は大いなるピンポーン可能性を秘めたピンポーン男ピンポーンなのでありピンポーン、ピンポーン、ピンポーン……
「……うるせぇ!」
ベッドにべったりと貼りついていた背中を引き剥がし、僕は猛烈な勢いで玄関先へと向かう。その勢いのままドアを開け放った。僕の崇高なる自虐りの時間を邪魔した罪、何人たりとも許すまじ!
「あ、敬太郎さん。こんにちは、やっと出て来てくれましたね」
にこやかな笑みを浮かべてそこに立っていたのは、獏女だった。束の間呆気に取られた僕は、すぐに顔をしかめて彼女を睨む。
「何の用だ。生憎、今日の僕は図書館に行く気力は無いから、お前に食料を与えてやることはできないぞ」
「まあ、そうなんですか。分かりました、では図書館には来ていただかなくても結構です」
今日の獏女は妙に物分かりが良い。いつもであれば、もっと執拗に絡んで来る所だが。
「その代わり、敬太郎さんにお願いがあります」
「断る」
「まだ何も言っていません」
「断る」
「ですから、まだ何も」
「断る」
僕は強固な姿勢を崩さない。やはりこの獏女は一筋縄ではいかない。図書館へと行かない代わりに、どんな面倒事を頼まれるか分かったものではない。この女と議論を交わしても仕方のないことである。だから、僕はシンプルに断るのが最善の策だと判断した。頑として断り続ける僕に対して、獏女は小さく頬を膨らませた。
「実は私、今日は図書館の仕事がお休みなんです」
そして勝手に話し始める。
「それで、これから勝さんと会う約束をしているんです」
僕はかすかに眉が動くのを感じた。僕の目の前で青臭い告白劇をやらかした彼女達は、めでたく付き合うことになったと、そういうことだろうか。
「それは良かったな、おめでとう。じゃあ、僕は寝るから。おやすみ」
ドアを閉めようとした時、獏女の手がそれを押し留めた。
「待って下さい。何か勘違いをしていらっしゃいますか?」
「勘違いも何も、お前達は晴れて付き合うことになったんだろう?」
僕が言うと、獏女は目を見開いた。
「誰もそんなこと言ってません。私はこれから、勝さんに告白のお返事をしに行く所なんです」
少し不機嫌な様子で獏女は言った。
「ああ、そうなのか。まあ、健闘を祈っているよ。それじゃ」
僕は紳士として励ましの言葉を送り、そのままドアを閉めようとした。すると、またしても押し留められてしまう。
「ですから、お待ちください」
「何だよ、もう。僕は疲れているんだ、休ませてくれ」
「その……敬太郎さんも一緒に来て欲しいんです」
「は?」
「私と一緒に、勝さんと会って欲しいんです」
そう言った獏女を、僕はしばらく呆然と見つめていた。
「露骨に嫌な顔をしていらっしゃいますね」
獏女は眉をひそめた。当たり前だろう、何が悲しくて他人の告白劇にまたぞろ巻き込まれなくちゃならんのだ。こいつは僕がそんなに暇人だと思っているのか。だとしたら、何とも失敬な話である。僕は常日頃から己を高める文化人としての活動に忙しいのだ。主に本を読んだり、夢想したり、そして無双したりと忙しいのである。そんな僕を捕まえて告白のお返事を一緒に聞いて下さいなど、言語道断である。
「断る。そう言うことは、自分でけじめを付けろ」
「敬太郎さんがおっしゃることは最もです。けれども、どうしても一緒に来て欲しいんです」
「そんなこと言われても困る」
「それも承知の上です」
「お前、太い奴だな。前から知っていたけど」
「そうです、ごめんなさい。私はとてもわがままな女です。だから、敬太郎さんにこんなお願いをしているんです」
黒い瞳で獏女は真っ直ぐに僕を見つめて来る。その瞳がかすかに潤んでいるのを見て、僕はわずかにたじろいだ。
「そもそも何で僕に付いて来て欲しいんだよ?」
僕は尋ねる。
「それは……情けない話、私はまだ彼に対してトラウマを抱いています。一人で彼と向かい合ってきちんと自分の気持ちを伝えることができるか、あまり自信がありません。ですから、敬太郎さんにそばにいてもらいたいんです。お願いします」
そう言って、獏女は深々と頭を下げた。重力でさらりと垂れ下がった彼女の黒髪を見て、僕は小さくため息を漏らす。
「……付いて行くだけだ」
「え?」
「僕はただ付いて行くだけだ。それ以上、何もしない。それともお前は、告白の返事さえ僕に代弁させようって腹じゃないだろうな?」
僕が問いかけると、少し呆気に取られていた獏女は、小さく首を振った。
「いいえ、告白の返事はきちんと自分でします。敬太郎さんは、ただ私のそばにいてくれるだけで良いんです」
切実な様子で獏女は言った。こいつは僕にとって鬱陶しいことこの上ない相手であるが、ここまで頼まれて無下に断ることもできない。そんなことをするようでは、紳士の風上にも置けない。
「……分かった、付き合ってやるよ」
僕が答えると、それまで不安げだった獏女の表情がにわかに明るくなった。
「本当ですか? ありがとうございます」
弾む声で言う彼女を見て、僕はまたぞろため息を漏らした。
◇
電車に乗り、大学とは反対方面へと向かう。十分ほど揺られていると、普段僕が利用する駅よりも大きな「枕木駅」へと到着した。新幹線が通っており、また駅ビルも設置されている。毎日のように多くの人々が往来し、賑わっているスポットだ。我が枕木大学の学生達も多くがこの駅前を利用している。だが、僕はほとんど訪れない。よほど何か買い物があったり、また遠出をしたりする時以外はこの駅前に近付くことはない。理由は言うまでも無いだろう。ここもまた悪しき「リア充」共の巣窟なのだ。犬も歩けば棒に当たると言うが、僕が歩けば「リア充」に当たってしまう。全く以ていらない運命である。そういった経緯もあり、僕はどこか落ち着かない心持ちでいた。
「ていうかそもそも、何であいつはこんな人の多い場所を選んだんだ?」
駅前広場のベンチに腰を掛けて僕は言った。普通であれば告白の類はもっと人目の付かない所でするべきだろう。やはり人に見せたがりのナルシスト野郎なのだろうか。
「さあ、私にもよく分かりません」
隣に座っている獏女は言った。
「お前は嫌じゃないのか? こんな所で告白の返事なんかさせられることが」
「大丈夫ですよ。私の答えはもう決まっていますから」
獏女はやんわりと微笑んだ。正直まともな答えになっていないが、これ以上追及するのも野暮な気がしたので、僕は大人しく口をつぐむことにした。
それからしばらく時間が経過した後、駅の構内から見覚えのなる人影が姿を現す。派手な金色の髪にふてぶてしい目つきをした男が、こちらに近付いて来た。
「よう。来たぜ、桜」
パーカーのポケットに手を突っ込んだ状態で、獏男は言った。獏女の後ろに僕の姿を見つけるとかすかに目を見開くが、また視線を彼女に戻した。
「こんにちは、勝さん」
ベンチに佇んだまま、獏女はしとやかに答える。
「じゃあ、早速だけど答えを聞かせてもらおうか」
どこか不敵な笑みを浮かべつつ、獏男は言う。一方、獏女は小さく頷き、ベンチから立ち上がった。
「正直な所、勝さんが私のことを好きだと聞いて驚きました。だから自分の気持ちに整理を付ける意味でも、一晩じっくりと考えさせていただきました」
「そうか。それで俺と付き合う気になってくれたのか?」
口の端を吊り上げて、獏男はにやりと笑った。こいつ、どれだけ自信過剰なのだろうか。あるいは、それだけ彼の中で勝算があるということだろうか。
「ええ、そうです」
次の瞬間、獏女の口を突いて出た言葉を聞き、僕は目を丸くした。
「私はこれから、勝さんとお付き合いをしたいと思っています」
獏女が言うと、獏男は僕以上に大きく目を見開いていた。
「お前、本気で言っているのか?」
「ええ、もちろんです。私は勝さんとお付き合いをします」
すると、獏男は膝を曲げて拳を握り締めた。
「よっしゃ!」
先ほどまでの余裕綽綽な態度はどこ吹く風。めちゃくちゃ喜んでいらっしゃる。一方僕は、目の前の、他人の他人による他人のための告白劇にまたしても巻き込まれてしまったことで、心中穏やかではなかった。人の不幸は蜜の味なんてよく言うが、まさしくその通りである。他人の幸福ほど、見ていて苛立つものもない。だから今の僕は、こんなにも不愉快な気分なのだ。こんなことなら、やはり獏女の誘いなど断っておけば良かった。このまま僕は将来二人が結婚することになった際、婚姻届けに印鑑を押す役回りを頼まれてしまうのだろうか。はたまた、仲人を頼まれてしまうのだろうか。どちらにせよそんな未来を想像しただけで、大いなる憂鬱に苛まれてしまう。
「じゃあ桜、早速遊びに行こうぜ。今日はそのためにこの場所に来たんだからな」
「ええ、そうですね。遊びに行きましょうか。私達はお友達ですから」
獏女はさらりと言った。
「え……?」
獏男は呆けた顔で彼女を見つめる。
「私はこれから、勝さんとお友達としてお付き合いしたいと思っています。せっかく再会できたのですからこれからは昔のようにいがみ合う関係ではなく、良き友人としてお付き合いしたいと思っています。それではダメでしょうか?」
「いや、ダメっていうか……えぇ?」
獏男は明らかに動揺していた。それに感化されたせいか、僕も驚きを隠せずに獏女を見ていた。
「つまり、お前は俺と男女の付き合いをするつもりはない……ということか?」
慎重な声音で、獏男は問いかける。獏女は瞳を閉じた。
「はい、申し訳ありません。私はあなたと男女のお付き合いをするつもりはありません」
直後、獏男は巨大な弓で射抜かれたようにその身を固めた。
人の不幸は蜜の味。先ほど僕はそう言ったが、大して美味いとは思わない。まあ、それは彼らが人ではなく獏だからかもしれないが。
獏女に見事なまでにフラれてしまった獏男は、がくんと頭を垂れた。その両肩がぷるぷると震えているのを見て、僕はわずかばかりたじろいだ。まさかフラれた腹いせにこの場で暴れ出すんじゃないだろうか。そんなことになればエラい騒ぎになってしまうのは目に見えている。こうなれば、僕の巧みな話術で彼を説き伏せるしかない。僕は意を決し、哀れなフラれ男に歩み寄ろうとした。
「……ハハ」
ふいに、獏男の口から乾いた笑い声が漏れる。
「まあ、そりゃそうだよな。昔散々お前を苛めていた奴がいきなり告白しても、断られて当然だよな」
自嘲するように笑い、獏男は言う。
「いいえ、それは関係ありませんよ」
「え?」
「私とあなたは先日の一件で和解しましたから。そんな過去のことはきれいさっぱり、水に流してしまいました」
「じゃあ、何で……」
どこかすがるような目で獏男が問いかける。対する獏女は、口元に微笑を湛えた。
「私には好きな人がいます。だから、あなたとはお付き合いできません」
突き放す訳ではなく、あくまでも諭すように獏女は言った。対する獏男は、唇を噛み締めた状態で顔を俯けてしばらく沈黙していた。その沈黙の時間が、僕の胃袋に大いなるストレスをかけていた。全く以て勘弁して欲しい。
「……そっか。なるほどな」
獏男は小さく吐息を漏らし、おもむろに顔を上げた。その顔は、フラれた割にさっぱりとしていた。
「桜、やっぱり俺はもう帰るよ。何か疲れちまった」
「そうですか。では、また機会がありましたら遊びましょう。お友達として」
「そこ、何度も強調しなくても分かっているから」
しかめ面で言った後、獏男はふっと笑みを浮かべた。
「じゃあな、精々仲良くやれよ」
去り際、彼はちらりと僕に視線を向けた。その意味はよく分からなかったが、僕は黙って彼の背中を見送った。
「……さてと」
獏女はベンチに座っている僕に振り向いた。
「敬太郎さん。せっかく駅前に来たのですから、一緒に遊びましょう?」
「は? 嫌だよ。ここは悪しき『リア充』共の巣窟だ。僕のような崇高な文化人がそんな所で遊んでたまるか。僕は家に帰って本を読む」
「そんなひきこもりみたいなこと言わないで下さい」
「ひきこもりをバカにするんじゃない。彼らには彼らなりの哲学というものがあってだな……」
語る僕の右手を掴んで、獏女は強引に立ち上がらせた。
「さあ、行きましょう」
「あ、おい。ちょっと待てよ」
僕は必死に抗うも、その腕力にぐいぐいと引っ張られて行く。
ああ、やっぱり来るんじゃなかった。
激しく後悔をするばかりだった。
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