第2話
「あの子は、一体、どういった来歴なのだろうな」
ある日、
「顔は、美しい。だから、元からの病ではないはずだ」
「あれは、殺されそうになった子供ではないのか」
探偵小説を三度の飯よりも愛している級友が言った。
「まさか。いや、しかし。だから、
級友は、笑った。
「だから、
陰惨な感情が、胃から這い上がってくる。
「何故、あんな、美しい子供を」
「美しいからさ」
級友は、簡単に言った。
「子供なんてものは、究極的に、確かな証拠なのだよ。不貞あるいは、もっと不都合な何かのね」
閑散とした図書室。
「そんなのは、ここにいる生徒全員に言えることだ」橋本は、言った。
「まあね。だが、つまらん。大いに、つまらん話だね。どちらにしろ」
級友は、読んでいた本を閉じ、退室したのだった。
橋本は、帰りしな、級友が読んでいた本を確認した。忌々しく、その探偵小説家の名を口にする。こんな物を読んでいるから、性格がひん曲がるのだ。橋本は、大層、ご立腹であった。
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