紙くずを握る

 アイツさえいなければ、人は善意のみで協力し合えるのに。

 僕はとあるボランティア団体に所属している。今日も困った誰かが僕らの所にやって来た。皆に共通して、アイツがそばにいないのだ。アイツは絶対的な価値の規範だ。

 悔しさから僕は奥歯を噛む。今の社会では僕の善意にはアイツが必要だった。

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