背徳感が生み出す、歪な美

 正直な話、自身の文章力と語彙力で本作品の魅力をいくら書き出せるのだろうと甚だ不安ではありますが、それでも一人でも多くの人にこの物語が届いてほしいという思いからレビューを書かせて頂きます。
 あらかじめ言っておくと少し長いです。お付き合い頂ければ幸いです。

 まず最初に、作品全体が纏う退廃的な空気感が非常に刺さりました。
 倫理的・道徳的におかしいと理性が叫んでも、葛藤の末に抗いようのない欲望に身をゆだねてしまうOL・澪と、そんな彼女に買われ、あまつさえ優しく受け入れてくれる女子高生・エリナ。
 第一話の会話劇だけでも見てほしいのですが、彼女たちの会話から漂うどこかネジの外れた雰囲気たるや、そうそう他の小説ではお目に掛かれないほど歪な美しさに溢れているのです。
 地の文、および文章力もさる事ながら、澪のぐずぐずした心情やエリナのちょっとした仕草を魅力的に書き出す作者様の手腕には脱帽と言う他ないでしょう。一度読み始めれば二人の関係性やその周囲を取り巻く環境が気になり始める筈です。

 また、一話ごとのエピソードがおよそ三分ほどで読了できる長さとなっているのもありがたい点で、それでいて心理描写・情景描写とも、過不足なく纏め上げられているという点もおすすめなポイントの一つです。

 レビューを書いている時点では第11話までエピソードが公開されていますが、ともすれば……ではなく、ほぼ間違いなく背徳的とも言える二人の関係性と今後の物語の展開に目が離せません。

 欲望に引き摺られずるずると堕落していくのか。
 或いは、互いが互いに寄り添い合える日が来るのか。

 この拙いレビューをここまで読んでくれた一人でも多くの方に、この物語が届けば幸いです。