第13話 DVと妊娠と出産
2012年。
島田からの指示で花菜は自分が住んでいたアパートを解約し、島田のアパートで島田と一緒に暮らし始めた。
島田は花菜の給料のほとんどをギャンブルに使い、花菜がその事について意見すると暴力を振るった。
「金が無いってどういう事?」
「すいません、今月主任がパチンコにお金使いすぎて食費が足り無くて.....」
花菜は一緒に暮らし始めても島田のことを主任と呼んでいた。
「お前が買い物下手なだけだろ?人のせいにしやがって、しかもいつまで主任呼びなんだよ。バカか?」
「すいません.....すいません.....」
「いつもびくびくおどおどしやがって!辛気臭い女だな!」
バチン!
島田は花菜のほっぺを引っ叩いた。
「ごめんなさい!すいません!」
花菜は痛みと恐怖で、室の隅に逃げ込み膝を抱え込むように丸まった。
ドカッ!
島田は、丸めた花菜の背中にかかと落としする。
「ごめんなさい!すいません!」
花菜は暴力を振るわれると、いつもひたすら謝り続けた。謝り続けて、しばらく時間が経てば、島田はいつも落ち着くからだ。
暴力を振るった後は島田はいつも優しくなった。
「ごめんね.....もうしないから。ほんと俺ってダメなんだよな.....すぐカッとなって花菜を傷つけてばかりで。」
「大丈夫ですよ.....私が悪いんです。」
「そうだね、ちゃんという事聞いてれば怒鳴ったり、殴ったりしないからね。大好きだよ.....花菜。」
お決まりのパターン。そしてその後は暴力的なSEX。
側から見たら完全ないわゆるDVだったが、当時の花菜には自覚は無く、むしろ頼られる事で自分の存在を認めてもらえた気さえした。
時が経つにつれ、花菜はお金を貢ぎ、島田の性欲を満たし、ストレスの捌け口に暴力を振るわれる、まるで奴隷のような存在になっていった。
SEXの際も、着けると気持ちよくない、お金の無駄という理由で、島田はコンドームを着ける習慣が無かった。
そのため、花菜は早くに子供を身籠った。
(お腹大きくなってきたな....私、主任と結婚するって事か.....)
花菜はそう考えていたが、島田からは何も話が無かったため、結婚することもなく共同生活が続いた。
子供が出来ると、流石に島田も直接暴力は振るわなくなったが、そのかわりに家にいる事が少なくなった。
ある時、花菜がどこに行っているのか聞くと、島田は悪びれる事もなく、他の女性と浮気しているのだと告白した。
「花菜が悪いんだよ?妊娠してても、口でするとかお尻でするとか色々あるよね?花菜のつわりさえ酷くなければ浮気しなかったのに。」
「そうですね.....私が悪かったです.....ごめんなさい。」
花菜はつわりが酷く、妊娠時の体調も良く無かったが、仕事しながら家事は全てこなし、相変わらず島田に貢いでいた。
島田の事が好きでは無かったが、こんなに尽くしてるのに、浮気されたことに花菜はショックを受けた。
無事、男の子が生まれると島田は瑛人と名付け予想外に可愛いがったが、その代わりに花菜への暴力が再開した。
妊娠中に痛めつけられなかった分を取り返すためなのか、育児のストレスなのか分からないが、出会った頃よりも暴力は激しさを増した。
ディズニーランドに行けば、人混みの中で怒鳴りつけられ、引っ叩かれた。
流行りのお風呂カフェに行けば、花菜はお風呂に入らせてもらえず、ご飯も食べさせてもらえず、キッズスペースから出ることを許されなかった。
神社にお参りに行けば、歩くのが遅いと怒鳴られ、背中を蹴られた。
ファミリーレストランでも、料理が遅いと店員に怒鳴り、なだめる花菜には水をかけた。
それでも花菜は瑛人のために耐えた。
2015年のあの日までは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます