行間に潜む余韻が半端ないです

「13歳の武蔵は必死に考えた。
 戦国の世でのし上がるために、立身出世するために、どうすればよいのかということである」

宮本武蔵は生涯かけて立身出世のために求道し続けました。もともと体格に恵まれていたうえに父親から兵法をみっちり叩き込まれ、田舎では抜きんでた強さだった武蔵。しかし、田舎で一番になっても立身出世にはつながらない、それを痛感した武蔵は都へ向かいます。

宮本武蔵といえば子供でも知っている剣術家です。時代劇や大河ドラマでもしばしば取り上げられる人気者ですが、ここで描かれる武蔵は一味違います。どうして武蔵は無敵だったのか、その驚異的な強さを支えた信条は何だったのか。ご興味を持たれた方は、ぜひご一読していただきたいと思います。

なにより、海石榴さまの筆致が素晴らしいです。そっけないほど遊びのない核心を突く美文が、剣豪武蔵の生きざまを彷彿とさせます。