心が危ういバランスの上に成り立っていることを改めて気づかされます

ひとの心はやじろべえみたいなもので、多少荒っぽくつつかれてもその衝撃はゆらゆらと揺れて吸収されますが、バランスを取っている重しが少しでも欠けるとと、途端にあっけなく落ちてしまいます。

一度バランスを失ったやじろべえは、これまでと同じようにつつかれても、バランスを取ることはできません。そこから、また、やじろべえがゆらゆらできるようになるには、すこしずつ重しのバランスを調整しては、そっと揺らし、を繰り返さなくてはなりません。

心のバランス調整を手助けし見守ってくれる人の存在の大きさ、これで元どおりなのか、今までどおりの刺激を受け流せるのか、その見極めにいかに本人と周囲の繊細さが要求されるかなど、考えさせられる作品です。

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