他人を想うのにも、強さが必要ですか?

 ささやかな幸せは、少しずつ狂い、主人公は心に傷を持ったまま家を出た。
 そして主人公は同じように心の傷を持った仲間が集う、シェルターに身を寄せる。少しずつ外に出て、少しずつ働いて、少しずつ立ち直っていく。例えまた誰かを想うことが出来なかったとしても——、そんな風に感じていた。
 そんな日常の折、主人公をある男性が助けてくれた。男性は主人公に心を寄せ、優しく寄り添ってくれた。そして……。

 他人をただ好きになること。
 それが、自分の心の傷と向き合うことと表裏一体だった時、
 貴方は、自分の心にどこまで正直にいられますか?

 静かな文章で綴られる心の傷と、徐々に閉ざされていた視野が回復していく様子が印象的な一作でした。

 是非、御一読下さい。

その他のおすすめレビュー

夷也荊さんの他のおすすめレビュー1,168