ある日、ある時、ある場所の赤

　女王の日に、学生小説家・ルイスは仲間と結託し、同級生の女子に付き纏われている友人が恋人と心置きなく祭を楽しめるよう、入れ替わり作戦を決行する。
　途中で服を取り換え、友人のふりをして過ごしていたルイスは、リーゼという娘と出会う。実はリーゼはこの国の王女で、公務を無断で抜け出してきていた。そうとは知らず、授賞式までには家へ帰るという約束の元、ルイスはリーゼと行動を共にする。

　同級生や破落戸に追い掛けられながら、リーゼの境遇やルイスの著書などの話をして仲を深めていく二人。その中でルイスは、先日嫁ぎ先が決まった義姉に対する恋心と苦しみを告白する。リーゼはルイスを否定せず、心に寄り添った。恋ではないけれどあなたが好き、と笑い合い、真の友情という花言葉を持つ赤いゼラニウムが彫られた揃いの指輪を買…続きを読む