肉と霊と、ゆめわたり。

最初の章まで読了してのレビューです。

作者さまご自身が、恋愛ファンタジーと銘打たれています。もちろんそのとおりであり、現実世界とゆめの向こうをゆききしながら、主人公さまがだれかを想う気持ちを描くというのが、少なくとも最初の章では主題のひとつとなっています。

やさしく柔らかな表現とあいまって、するすると読み進むことができますし、主人公さまの目線、こころに沿いながら、物語に存分にひたることができます。

それで、終えてもいい。
でも、わたしは、もっと強いなにかを、感じてしまいました。

おそらく、作者さまの、念。

現実世界に鋲打たれ、この世界でいのちをおくるしかないわたしたち。作者さまももちろん同様であり、ふだんは上手に、しずかに隠しているはずです。
遠くへ! の、想い。
それが、感ぜられてしまいました。

遠くの世と、いまの世をつないで、肉と霊とを、ゆめわたりしながら、行き来する。その描写と、おいてある気持ちは、わたしには、乾くような、叫ぶような、焦燥感のようなものに、感ぜられ、震えました。

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