読む前は、島崎藤村の『千曲川のスケッチ』みたいなものかと思っていたが。ご存じの通り、千曲川のスケッチは、千曲川在所にあるひとら、そして関わりを描いたもので、千曲川が主役ではない。が、本作はタイトル通り、武蔵野が主役に据えられている。こうまで綿綿と書けるのは、見上げたものだと思う。よほど、武蔵野を愛好していたのか。そのありように、むしろ興味を惹かれた。
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