九
かならずしも道玄坂といわず、また白金といわず、つまり東京市街の一端、あるいは
見たまえ、そこに片眼の犬が
見たまえ、そこに小さな料理屋がある。泣くのとも笑うのともわからぬ声を振り立ててわめく女の影法師が障子に映っている。外は夕闇がこめて、煙の臭いとも土の臭いともわかちがたき香りが
見たまえ、
かんてらから黒い油煙が立っている、その間を村の者町の者十数人駆け
日が暮れるとすぐ寝てしまう
それでも十二時のどんがかすかに聞こえて、どことなく都の空のかなたで汽笛の響きがする。
この文第五までは国民
武蔵野 国木田独歩/カクヨム近代文学館 @Kotenbu_official
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