概要
あなたがたが悪いか、わたしが悪いか、どちらが悪いかわかりません。
『今昔物語』を典拠に、真実の不確かさを巧みな構成で鮮やかに提示した傑作。角川文庫『藪の中・将軍』所収。※角川ソフィア文庫『芥川龍之介の「羅生門」「河童」ほか6編』に則り、歴史的仮名遣いを改め、漢字表記を現代風に簡易化しております。キャッチコピーは本文抜粋。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!至ってシンプル
至ってシンプルな話のように、私には読める。
何も、謎が深いとか真相は不明とかと読みたがらずともよいのでは。
武弘。死んだ人間であり、盗賊を非難するのは当たり前として、偽ってまで妻を貶める発言などあり得ぬことであろう。
武弘のはなしが真相にもっとも近いところにあり、それをベースにして見てゆけば、わりあいシンプルな真相が見えてくるのではないか。
謎というのであれば、だれが殺したか、妻の発言が、ではなく、各々の感受のありようであろう。
一人語りというところが味噌で、あくまでも主観でしかなく、偽らざるともその語り手の主観でしかないわけで、それだけでも食い違いが出てくるのは必定。
わかりやすい謎をお…続きを読む