導かれし恋の調べ、距離をなくした背徳に咲く

主人公は昔馴染みの彼女に一途な想いを伝えられないまま時は過ぎ、いつの間にかふたりは大人になっていた。彼女が結婚して里帰りした折に、偶然ふたりは再開する。遅れ馳せながら打ち明けた告白に、ふたりの心が、人生が、変わり始める。
ふたりの出会う場所は海の見える石垣。
とりわけ機転が利いていて味わい深い。

いつもの石垣に君がいる。

とりわけ会う約束などしていないのに、不思議とふたりを惹きつける特別な場所。
何気ない会話。過ぎゆく時間。
もう帰らなくてはならない、その切なさ。
距離と時間がふたりを引き離すように惹きつけていく。

純粋な想いが、背徳の中でも美しい筆致で紡がれるストーリーが止まらない。その絶妙なバランス感覚と駆け引きとに深みを増していく主人公たちを取り巻く愛憎劇。
心の隔たりが、ふたりの距離をなくすまで
高まり続ける恋の旋律。
触れては焦がれて熱くなる、おすすめの恋愛小説です。

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