結論から言います。
あなたがカクヨムの作家なら、この小説を笑い飛ばすことができるだろうか――否、個人的には決してできない。
おそらく、カクヨムにかかわらず、Web小説サイトで作品を投稿されたことのある方、特にコンテストに参戦経験のある方なら、誰もが共感できる内容ではないだろうか。
本編で登場するAI(行人)サポートプログラムをによる「ヨム」活の力を借りている時点で賛否両論あるでしょう。
しかし、行人は最後に作者の背中を押す謙虚で献身的な姿勢を示し、本来あるべきの未来へ導くさまに作者の温かい心のあり方を感じます。
現代人には時間がありません。
社会人で家庭をお持ちの方なら尚更でしょう。
そうでない方も含め、これからのWeb小説との付き合い方を再認識できる貴重な機会として捉えたい。
その大切な心の在り方を教えてくれる価値ある一作です。
カクヨム利用者、それも本気で利用している人だったら、とにかく共感せずにいられない。そんな強いテーマ性を持った作品です。
ネット小説の世界で生きようとする主人公の小太郎。彼は、ネットでは中々自分の作品が読まれず、埋もれていってしまう現実を知る。同じくコンテストに応募している作品の中にも、素晴らしい作品なのに評価されないものがあるのを知る。
そして、ネット小説の鉄則として、「読まれたければ読め」の事実に気づく。だが、自分が書く合間を縫って、長大な作品を何作も読むのは時間的に難しい。
そこで彼は、「あるもの」を生み出す。
この辺りの展開、「こんなのがあればいいのに」と思ったことのある方、かなり多いのではないかと思います。
もちろん、カクヨム内には素晴らしい作品も多く、紙書籍ではカバーしきれていないような良作・傑作が多々あるのも事実。それでも、それらを読みに行く時間を確保することは難しく、そっちに力を入れ過ぎると自分の作品を書く時間が消えてしまう。
読むも書くも両方、どうにか出来る方法があれば。きっとみんな思っているはず。
だからこそ、涙します。作中で彼が迎える結末に。
共感性MAX。この作品を読むことで、今日からまた頑張ろうという気にもさせられます。カクヨムを利用する全ての人に、コンテストに参加する全ての人に、是非とも手にとっていただきたい作品です。