共感せずにはいられない、ネット小説をめぐる「とある奇跡」の物語

 カクヨム利用者、それも本気で利用している人だったら、とにかく共感せずにいられない。そんな強いテーマ性を持った作品です。

 ネット小説の世界で生きようとする主人公の小太郎。彼は、ネットでは中々自分の作品が読まれず、埋もれていってしまう現実を知る。同じくコンテストに応募している作品の中にも、素晴らしい作品なのに評価されないものがあるのを知る。

 そして、ネット小説の鉄則として、「読まれたければ読め」の事実に気づく。だが、自分が書く合間を縫って、長大な作品を何作も読むのは時間的に難しい。
 そこで彼は、「あるもの」を生み出す。

 
 この辺りの展開、「こんなのがあればいいのに」と思ったことのある方、かなり多いのではないかと思います。
 もちろん、カクヨム内には素晴らしい作品も多く、紙書籍ではカバーしきれていないような良作・傑作が多々あるのも事実。それでも、それらを読みに行く時間を確保することは難しく、そっちに力を入れ過ぎると自分の作品を書く時間が消えてしまう。

 読むも書くも両方、どうにか出来る方法があれば。きっとみんな思っているはず。

 だからこそ、涙します。作中で彼が迎える結末に。
 共感性MAX。この作品を読むことで、今日からまた頑張ろうという気にもさせられます。カクヨムを利用する全ての人に、コンテストに参加する全ての人に、是非とも手にとっていただきたい作品です。

その他のおすすめレビュー

黒澤カヌレさんの他のおすすめレビュー605