彼は誰時のカシューナッツ

作家:岩永桂

第01話 副露が縛る拘束に悶えても

衰えの副露ふーろ

義母さんは、腎臓の病気……。賀集夏生は大きな衝撃を受けた。

妻は、人工透析の大変さを誰よりも知っていたからだ。

何故、妻が人工透析について詳しいのかは、夏生は聞かされていない。

だが、義母は血液中の水分が確保出来ずに全身が浮腫むくむ病気に悩んでいる。

血液の異常で、尿に直結するのは腎臓を疑うべきである。


夏生は、家族を亡くしたことが無いことが自慢だった。

だが、二年前に祖母が九十八歳の大往生で他界。

彼は、初めて目の前で家族を火葬されるのを見守った。

命は有限で、そう言う順番になる人はどんどん増えて来るだろう。

実母実父の方が義母義父よりも健康そうに見えても

順番は順当とは限らない。

そして、彼と夫婦にあるつがいの二人も

やがては冥府の果てに旅立つ。


 ここで、異世界の入り口とアクセス出来た方が

読み物としては有意義だろうか?

 だが、私は夏生の今後を出来るだけ平静な眼差しで見詰めたいと思う。

何も無い日が当たり前で、何か問題が起これば反面教師にする。

取り敢えず、今日と言う日は、とても穏やかな一日だった。

隣町のスーパーマーケットで月餅と言う饅頭を十個買った。

コンビニエンスストアでは単価130円だが

スーパーマーケットの場合単価 80円で購入出来る。

隣町だからBICYCLEを漕いで漕いでの小旅行だが

運動に成るし、十個で500円の割引は大きい。


終活が算数になってしまったが、隣町は義父の実家に程無く近く

見守りに適したフィールドワークだと心得る。

 夏生は、毎日の行事である家族麻雀に、一抹の不安を抱いていた。

実父の副露である。他者の牌を利用する技だが、裏技故に弊害も。

実父は和了に繋がらない副露を時々する。

 麻雀は基本的に四人で遊ぶのが定説なのだが、他の三人が邪魔をして来て

当然と言う意識を持つべきである。実父は卓から脱落するような

暴牌を打っているように夏生には映ってしまうのであった。

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