第06話 かわたれときにせまるやみ
ファイアフライ・スクイッドと言うBAND名
かわたれとき(=彼は誰時:薄暗い明け方、夕方)に、
書斎の前の駐車場経由で犬の散歩をする男性が居る。
眼鏡は多分、掛けていて、髭は多分、生やしていない。
犬は黒毛で中型。大体の情報が其処には映し出される。
かわたれときに書斎に居ると言うことは、
作品と真剣に向き合っていると言うことで
暖房の轟々以外は耳に入らない静寂空間。
かわたれときだから、ナンバープレートも当然確認は出来ない。
車体の色さえ、かわたれな場合もある位だ。
隣家の広大な土地に基礎工事が進み、日中はとてもじゃ無いが
集中して書斎に篭るなんて不可能。
そんな工事もやがては終わり、二階の書斎から見える風景も
様変わりして行くのだろう。
夏生は、いわゆる風景描写が嫌いな物書きだった。
誰かと競う程のことも無いし、競わなけば優劣の全く判らない世界だ。
彼と同じ駐車場を一瞥、又は凝視して豊かな表現で描写したとしても
かわたれ靄が掛かっているだけで、読者に伝わるのは単なる漠然だ。
ノートパソコンを起ち上げて、50分で書いた行数は二十二行。
「50」と「二十二」と言うバラバラな表現に戸惑いながらも
時間関係はアラビア数字、それ以外は極力漢数字にしようと
方針を定めながら次へ次へと書いて行く。
「かわたれとき」って100%日本発だ。
「Kawer」「Taley」「Talkey」が訛って
「かわたれとき」になった、なんて俗話は絶対に信じてはいけない!
「ホタルイカ」は「蛍」「烏賊」どちらが先か?「蛍」だ。
英語に訳すと「Firefly Squid」=「Firefly」は「蛍」の英訳なので
「発光する烏賊」と言う訳では無いことが判る。
「卵と鶏」は永遠の命題だが「部品と自動車」どっちが先か、
なんて普通に考えれば直ぐに答えは出る問題も沢山ある。
それは「自動車」が生まれる瞬間を見聞きしたことがあるからだ。
「鶏」がどうやって生まれたかの起源を知る者には命題も糞も無いだろう。
そんな伝記が残って無いから、誰も知らない難問のまま。
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