第14話




はぁー、と白い息を吐き出す。

 「今日も冷えてるな」

 隣を歩く山仲さんが言う。

 「そうすねぇ」

 僕はどこか上の空で答える。何故だろう、山仲さんと過ごす日々にどこか疑問を抱く。

 何故だろう。山仲さんと居るとこんなに楽しいのに。あの時の彼の言葉が耳から離れない。

 『 幸せそうで良かった 』

 彼は寂しそうな顔で呟いていた

 何故?

 「どうかしたか?」

 山仲さんが心配そうに覗き込む

 「何でもないっす」

 僕は慌てて何でもないように振る舞う。

 こんな気持ち山仲さんに知られる訳に行かない。また捨てられてしまう。

 山仲さんはそんな事しないって分かってるのに。どうしてもそんな事を考えてしまう。

 ある意味トラウマになってんのかな。

 「ほい、これ」

 山仲さんは突然胸ポケットから何かのチケットを差し出した。

 「ん?何すかコレ?星見の旅へ?」

 「好きだろ?星」

 渡されたのはプラネタリウムのチケットだった。

 星か、確かあの日も流れ星だったよな。まあ、泣いてて見えてなかったけど。

 「いいすね!行きましょうよ!」

 ネガティブな考えを打ち消すように僕は明るく答えた。

 「お、そうこなくちゃな!」

 山仲さんは嬉しそうに大きく頷いていた。

 そうだ、今僕は幸せなんだ。この人だけを見ていなくちゃ。

 そうじゃなきゃいけないんだ。

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