第2話



 「〇〇駅に行きたいんだけど、どっちに行けば良いかな?」



 サラリーマンにしてはがっしりとしたガタイのいい男性がそう尋ねてきた。



 「あー、〇〇駅すか。それならこの道をまっすぐ行って二つ目の信号機を右に曲がって…」



 身振り手振りを交えつつ駅への道を説明する。職業柄、人に説明するのは慣れている。



 「なるほどー、ありがとう」



 僕も背が高い方だかこの人も背でけーな。男性は大きな身体を軽く曲げて会釈した。



 「あ、良かったらこれ」



 そう言って男性はレジ袋から何かを差し出した。


 

 ん?これは、ポケモンパン?



 「持ってるもんでお礼出来る物ってこれくらいしかなくてね」



 男性は少し照れ笑いしながらそう言った。



 「はあ…」



 僕は少し困惑した。ポケモンパンて。好きだけど。

 


 「まあ、貰っといてよ。じゃ」

 


 男性はゆったりとした足取りで駅へと向かって行った。



 何だったんだ。僕の手元にはポケモンパンが残った。

 


 「さみー!雪かよ」

 


 空からはちらちらと雪が舞ってきた。


 

 マフラーをキュッと巻き直し僕は寒空の下を歩き出した。

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