第2話
「〇〇駅に行きたいんだけど、どっちに行けば良いかな?」
サラリーマンにしてはがっしりとしたガタイのいい男性がそう尋ねてきた。
「あー、〇〇駅すか。それならこの道をまっすぐ行って二つ目の信号機を右に曲がって…」
身振り手振りを交えつつ駅への道を説明する。職業柄、人に説明するのは慣れている。
「なるほどー、ありがとう」
僕も背が高い方だかこの人も背でけーな。男性は大きな身体を軽く曲げて会釈した。
「あ、良かったらこれ」
そう言って男性はレジ袋から何かを差し出した。
ん?これは、ポケモンパン?
「持ってるもんでお礼出来る物ってこれくらいしかなくてね」
男性は少し照れ笑いしながらそう言った。
「はあ…」
僕は少し困惑した。ポケモンパンて。好きだけど。
「まあ、貰っといてよ。じゃ」
男性はゆったりとした足取りで駅へと向かって行った。
何だったんだ。僕の手元にはポケモンパンが残った。
「さみー!雪かよ」
空からはちらちらと雪が舞ってきた。
マフラーをキュッと巻き直し僕は寒空の下を歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます