第15話




「綺麗だったな、プラネタリウム」

 雪が降っている。はらはらと。

 「良かったす」

 僕は俯きながらそう答えた。

 ずっと考えてしまっていた自分がいた。

 山仲さんと居ると楽しい、自分を好きでいてくれる。

 山仲さんと居ると辛くない、愛を表してくれる。

 山仲さんと居ると苦しくない、自分だけを見てくれる。

 でも違う、違うんだ。

 ──何が?

 楽しいけど、辛くないけど。でも僕の中がからっぽなんだ。

 ──どうして?

 あの人じゃないから。

 僕は立ち止まり俯いたまま山仲さんへ懺悔した。

 「ごめんなさい……僕は貴方を傷つけていた、貴方を見ていなかった。あの人の代わりに貴方を求めていたんだ」

 山仲さんはふーっと息をつく。

 「代わりでもいいのに?」

 おどけたように肩をすくめる山仲さん。

 「でもそれじゃダメなんだ、ダメなんすよ」

 涙が溢れそうになるのを堪える。

 「そっか。なら、行かなきゃな」

 はっと山仲さんの顔を見る。

 山仲さんは少しだけ悲しそうに、でもいつものように優しく微笑んでいた。

 「ごめん……なさい…… 」

 一度零れた涙は止まらない。止めどなく溢れてくる。泣いていいのは…僕じゃないはずだろ。

 山仲さんがそっと頬に伝う涙を拭う。

 「ほら、前に星に願いをかけただろ?それくらいは叶えさせてよ。泣き止んで、な?」

 僕は泣きながらせいいっぱいの笑顔を作る。せめて貴方の願いが叶いますように

 雪が降っている。優しい雪が。

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