夏の夜は散歩、秋には紅葉。

 主人公は大学を出て、教師をしている男性。男性には日課があった。飼い犬を河に散歩に連れていくことだ。夏の夜は日中よりも少しは涼しい。
 主人公の飼い犬は雑種だったが、聡明な犬だった。この犬の飼い主は元々、主人公が飼っていたのではなく、大学時代の知人女性が拾ったものだった。夏目漱石が好きだった彼女は、広島に実家があり、幼い頃に被爆の症状が出た。彼女はそのために若くして片足を失い、杖を突いて生活していた。それでも明るい彼女は、自分は杖を使う前は足が速かったと、主人公に自慢していた。
 盆の夏の盛りに、主人公がいつも通りの道を犬と散歩していると、彼女に会った。犬は命の恩人であり、元の飼い主に会えた嬉しさで彼女に抱きつくが、主人公は思いの外冷静だった。そして彼女からある忠告を受ける。

 広島弁の彼女の武勇伝や、快活な性格に爽やかさを感じました。
 
 是非、御一読下さい。

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