心の友の死。受け容れられない主人公との再会が、とても静かに穏やかに描かれていて、読みあえた後、とても優しい気持ちになりました。元飼い主と別れる時の、ヘクトーの堪えるような姿が印象的でした。
時は昭和。太平洋戦争がまだ遠い過去でなかった時代のお話です。 主人公の次郎の友人、京子は被爆により十三歳の時から右足が不自由で動かず杖をついています。と、くれば悲劇のヒロインのようになるのかと…続きを読む
自分に正直に生きる。それは言葉としては理想的に思えても、実践すると何かと角が立って周囲からは厭われる。それが人の世界。京子の在り方は『草枕』の冒頭を彷彿とさせるようでした。そして寄り添った犬た…続きを読む
穏やかな物語でした。この中で起きていることはとてもつらいことのはずなのに、悲しくなり過ぎず、穏やかな気持ちで読むことができました。それは主人公の落ち着いた性格のせいなのか、ヒロインの『けったいな…続きを読む
主人公は大学を出て、教師をしている男性。男性には日課があった。飼い犬を河に散歩に連れていくことだ。夏の夜は日中よりも少しは涼しい。 主人公の飼い犬は雑種だったが、聡明な犬だった。この犬の飼い主は…続きを読む
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