本当に恐ろしいのは人間の業、それを描き出した秀作ホラー

全7話の短編ホラーです。
これはまさに秀作と言えるでしょう。

主人公の御門碧は高校生、そんな彼には不思議なものを視る力がありました。そこへ得体の知れない神子澤耶永という転校生がやってきます。

そこから、学校では、異変が起こり始めます。
耶永にもまた、不思議な力があったのです。

読み進めながら、ぞくぞくさせられます。
人間はなまじ力を持つと、それを使いたくなるのですね。そして、良い方向にではなく、悪い方向に使ってしまう。人間の醜さもまたホラー、それらは業とも言えるでしょう。

学校を舞台に、何気ない日常と何げない会話が繰り広げられる中、異質なものが混じったらどうなるのか。
それは、普通の学生には見えないものです。碧にだけ視えているのです。

そして、耶永が碧に誘いかけます。
ここです。ここが本作で最も恐ろしい部分です。
何と言ったか、それは是非読んで、確認してみてください。

そして、エンディング、これがまた何とも言えない読了感を残してくれます。

もう読まない手はないでしょう。推薦します!

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