碧絃の怪奇録〜誰にも言ってはいけない、不思議で奇妙な話〜

作者 碧絃(aoi)

243

83人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

怖い話が大の苦手な私ですが、以前からお見かけしていた事もあり、思い切って読んでみることにしました。

結論から言って、素晴らしかったです。

怖いのに、それ以上に魅力的な文章とストーリー。

ここまで読みやすい物語に出会えるなんて( ˊ̱˂˃ˋ̱ )

沢山の原石が存在しているカクヨムですが、稀に宝石が混じっていたりもします。

今回私が見つけたのは宝石でした。

ぜひ沢山の方に読んでいただきたいです。

応援しています( ´ ▽ ` )

★★★ Excellent!!!

主人公である「私」を語り部として紡がれる短編集です。

その構成というのか、口調が素晴らしく、1話5分ほどのお話で得体の知れない恐怖や不思議な体験、不可解な現象を体感させてくれます。

その正体が分からないことこそが重要で、遭遇した「もの」の正体が薄らと口語伝承で判明する様など「日本的な神話伝承、あるいは心霊現象などに精通されている方が執筆されているのかな?」と思うほど各話のクオリティが高く、驚かされるばかりです。

色々と書いてしまいましたが、純粋に「人から恐怖体験を聞く」ことや「ネットで洒落怖系の話を見る」のが好きな方は凄く楽しめると思います。

オススメです。

★★★ Excellent!!!

こちらの作品を読むまでの、私の中のホラーのイメージは「とにかく怖い」でした。

しかし本作品においては、不思議で優しい気持ちになれるものもあったり、考えさせられるようなものもあったりと、「ただ怖い」だけではないと思います。

まるで誰かの体験談を聞いているような、臨場感のある語り口が大好きです!

ホラーは苦手と言う方でも、一度読んで頂くと、ハマってしまうような味わいを感じられるかもしれません。

★★★ Excellent!!!

これは私好みかもしれない。
そんな気はしてたんです。
でも怖い話はあまり得意ではなくて、でもやっぱり気になる…ってずっと思ってて。
やっぱり読んでみる! って読み始めたらやっぱり好みなのでした。
勿体ないから(?)少しずつ読んでます。
面白いです。
怖いの得意じゃない方でも大丈夫だと思います!
読み応えあります!
今、すごくハマってます。お勧め!

★★★ Excellent!!!

子猫のお話や、山で出会った不思議な子どものお話など、まだ出だし部分ですが何にこんな惹きつけられるのか…と思っていたのですが、やはりノスタルジーに浸れる心地よさという気がします。
里山と田園に囲まれた地方で幼少期を過ごした者としては、肌感覚で覚えているあの頃の空気感。仄暗い闇の中に何か潜んでいるのでは、と日々ハラハラドキドキしていた頃を追体験する楽しさを感じています。
横溝正史の映画の風景にもオドロオドロしさよりも、最近では泣きたくなるような懐かしさを感じるんですよね。大野雄二さんの曲が流れてくると。
やはり歳のせいかなぁ、と感じてしまいます。
さて、この先どんな追体験ができるのか、楽しみです。

★★★ Excellent!!!

 なんとも奇怪な、そして不思議な短編集である。気がつくと泥に足をとられているような、ありえない波紋で泥をようやく認識しているような。そのくせ、数日前にまとまった雨が降ったこと自体は覚えているような。

 あたかもメビウスの輪のごとく、現実は非現実に、非現実は現実に繰り返し繰り返し点滅しながら進んだり戻ったり。

 そんな雰囲気が秀逸なホラーである。

 必読本作。

★★★ Excellent!!!

短編集という事ですが、恐らく語り部の方は同一人物かもしれません。
他の話で出てきたワードが別の話にも出てくる事があり、あっ!!これさっきも出たな!!となるのが楽しい。語り部の背景も少し出てくるので考察するのも良いかと。
ホラーとの事ですが、不思議な話やホッコリする話もあり、グロ要素はほぼ無いので肩の力を抜いて読めるのも嬉しいです!!
幽霊は怖いもの、危険なものなイメージですが、この作品に出てくる幽霊は必ずしもその限りではなく、迷惑だけど悪意の無い者、ただ佇んでいる者、など多岐に渡ります。
怖いのに興味があるけど怖すぎるのは嫌って人もホラー入門にピッタリな作品ですので、是非読んで頂きたい。
個人的には「荒神さま」の話がお気に入りです!!

★★★ Excellent!!!

優しさと切なさを感じる上質、上品な短編集です。

不思議な話を、大人なお兄さんが聞かせてくれるような語りで安心でき、それゆえに、特有の生々しさをもって響いてきます。

その落ち着いた語り、生々しさに、本当に視える人なのでは、と思ってしまい、いっそ背筋が寒くなります。

そしてそれらの恐怖は、霊や命や想いの力に対する畏怖なのだと知ります。
見えない存在たちのとなりで生かされているのだと。

★★★ Excellent!!!

こちら、ひとつのお話が二話から三話で構成されている短編集です。一話一話が短めでとても読みやすいです。
さて皆さまはホラーと聞くと、どのようなお話を想像するでしょうか。
私の場合は、血を流したおどろおどろしい化け物が襲ってきたり、長髪の女性が這いずり回ったり、いかにもな雰囲気で恐怖心を植え付けてくる物語を想像します。

しかし、こちらの作品は違いました。

読み進めていく内にじわじわ、じわじわと、ゆっくりと足元から恐怖が這い上がってきます。しかし不思議なことに、嫌悪感は全く抱きません。それどころか恐怖と共に切なさがすっと心に入り込んできて、いつの間にか物語が『ここ』に在るのです。怖さの中にも優しさが漂う、とても素敵な物語です。

怖い物好きな方だけではなく、心に沁みるようなお話が好きな方にもおすすめです。
是非、ご一読を。

★★★ Excellent!!!

恐怖体験の形をとるオムニバス。個人的には、荒神(庚申信仰)に絡んだ物語がとくに興味深く感じられました。

庚申碑は、江戸時代に流行した信仰で、三波石(片岩)を使ったものが多くあります。三波石は、中世中産階級層の墓石として用いられていました。作品の中で、行き倒れの旅人を埋葬し、荒神として祀った碑というのは、庚申碑というよりは、中世のそこそこの身分があった地元の方の墓石と見る私です。

★★★ Excellent!!!

怖い話は好きですか?
わたしは好きです。
碧絃(aoi)さんのこの短編集は怖い話と不思議な話で出来ていて
その怖さが、わたしにはちょうどいいのです。
「ああもう、気持ち悪い!」とかではなく、
「これって、ほんとうにあった話だよね……!」と思うのだけど、
でもまた読みたくなる。
そんな怖さです。
不思議な話の方はほっこりです。あったかい。

でもって、みんな、「ほんとうの話だよね……絶対!」って思っているわたし。

★★★ Excellent!!!

この小説に出てくるエピソードは、生きていれば数回は耳にする話。聞いたことがある話。
 学校の休み時間、帰り道、宿泊訓練。友達同士で話をする。
「こんなことがあったんだって」
「ええー、こわーい」
 そしてお約束のように騒いで、なにもなかったかのように、
「じゃあね」
「またね」
 となる。

 でも、この小説はそこで終わらない。終われない。主人公、碧さんの呟きが入ってくるから。非常に落ち着いていて、まるで日常風景の一部でもあるかのようなコメント。そこで思う。
「なにこれ? もしかして……実体験?」
 そして、どうやらこの碧さん、作者さん、らしい。だって名前が似すぎてる。

 それに気づいた時、全身にぞわっと鳥肌が立つ。変な汗が出る。だってもしそうなら自分の後ろにも、横にも、いるかもしれない。
 ただ、見えていないだけ。


 ねえ、一言言わせて。
「こえええええええんだよおおおおおおっ!」

★★★ Excellent!!!

ホラーの中にもSFチックなものなど多様なジャンルがありますが、こちらはどこか田舎の実家に帰ってきたような懐かしみある穏やかな名作です。
不気味なトンネルや学校怪談、誰もが一度は幼心に抱いたことがあるであろう昔ながらの恐怖を蘇らせてくれます。

また、ホラー編とは別に不思議編もあり、日常の中に現れるふとした不可解な非日常が描かれます。
何かの「縁」に引き寄せられるような展開は恐ろしくも親しみがあり、謎を謎のままにしておくところも絶妙です。

日本人の感性にマッチする不思議ホラーではないでしょうか。
オススメの一作です。

★★★ Excellent!!!

読了後がこんなに爽やかなホラーがあったでしょうか。

ホラーと爽やかさは、反対に位置していると思いきや、そうではないことが、これを読んで分かりました。

やさしく、やわらかな文体がホラーの雰囲気を消していますが、化けます。

こわいときはこわい。
でも爽やかだからまた読みたい。

やみつきになるホラーです。