概要
この□から、解き放って。
日ノ本一の遊廓とは名ばかりで、この色街は人間の見世物小屋だ。
来る客のほとんどは獣人や人外で、何が愉しいのか人間の女と夜を明かす。普通に抱く者もいれば、面白可笑しく観察して帰る者もいるらしい。
人間を保護せよというお上からの御達しがあるおかげで、乱暴狼藉は無いにしても、言葉よりも視線がうるさい。
毛に被われていない無防備な肌。小さな目鼻口。この色街に居て、人間というだけで奇異な目に晒される。
こんなところ、居るだけで気が狂う。一体何人の女が人外の者を厭い、畏れて、命を絶ったか。
その夜、色褪せただんだら模様の羽織りを着た狼の獣人が、朱塗りの格子越しに私を見下ろしていた。
※本作は「ゆるプロット交換会」参加作品です。
主催蟬時雨あさぎ様のゆるプロットを元に執筆した作品
₍ᐢ⑅ • ༝ • ᐢ₎とってもありがとう!