言葉からチベットの空気が立ち昇る

主人公の逆境からスタートする物語は数あれど、王の『足置き』とは!
このオープニングで、すっかり心を掴まれてしまいました。
しかしチベットの風土を想像するに、そういう王もいそうな気がして、その設定を思いつけるのが凄いなあ、と思います。
オグトログイは悪い王として描かれていますが、オルヌドに対して愛情があったのか、なかったのか?
そこには現代的なDVや依存の関係性が見える気がして、イイ意味で後々まで気になってしまいました。

ネーミングが抜群で、ツェタル、デルグ、ゲーボ、など言葉からチベットの空気が立ち昇ります。
ファンタジーにおける名前の重要性に、改めて気付かされました。

怒涛の展開で飽きさせず、ドクパの登場が後々効いてくるなど、伏線と回収も上手いなーと思います。
女戦士が好きなので、ダワがあっさり死んだのが残念(実は生きてる? いや死んでるよね……)。
ラストは賛否両論ありそうですが、今後の物語を感じさせる余韻のある終わり方で、私は好きです。

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