チベットの風を感じる重厚な物語です

風土・文化・政治。これらが複雑に絡み合って展開される物語は、文体も相まって非常に濃密で、読後の余韻が凄まじかったです。
さまざまな思惑が渦巻く中で、主人公のツェタルが周囲の優しさや真心に触れていく様子が丁寧に描かれ、大変引き込まれました。

登場人物の中ではンガワンが特に好きで、彼とツェタルのやりとりとその変化は、なんとも言えぬ良さがあります。乱暴だけど心根が優しく、思慮深いことが伺えます。
またンガワンとセンゲ、そしてユルスンの関係性には心揺さぶられました。こういうの大好きです。

ツェタルたちがどんな道を辿るのか、毎話追うたびに思い耽ってしまいました。
続きが気になりつつも、長く深く味わいたくなるような物語でした。

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