いじめられっ子の小学生ミコトは、夏休みを前に突然現れた転校生・零と友達になり、彼と二人で「学校の七不思議」に関わってゆくこととなる――
――という筋立てのお話です。
夏休みを前にした、浮き立つ空気と清々しさが同居した夏の日々に、ミコトは仲良しの友達とふたり、「学校の七不思議」の鍵なるものを探して学校の探索に臨みます。
神社で行った「こっくりさん」から始まるこの探索は児童文学のような瑞々しさと驚きに満ちた優しいおはなし――かと思いきや、怪異はやはり「怪異」。
日常から、怪異の領域へ、うっかり境界を踏み越えてしまったと気づいたときの、首筋の産毛が逆立つような「ぞっ」とする感覚。それが確かな筆致で描き出されています。
いわゆる「学校の怪談」や、それをモデルにした学校を舞台とするホラーゲーム、それらに通ずる不穏さ、いつかこの盤面がまるごとひっくり返ってしまうのではないかというあやうさが、明るく瑞々しい物語の裏側へ常に張り付いています。
その帰結がどこへ至るのか、というより、陰陽どちらへ向いた終わりを目指しているのか。
ミコトがいつか、それと気づかぬうちに取り返しのつかないところへ踏み込んで――それとも、既に踏み込んでしまっているのではないか。そんな一抹な不安を抱えながら、朗らかな一夏の探検の物語を追いかける。
タイトルか、あらすじか、キャッチコピーか。少しでも琴線に触れるものを感じたのであれば、是非読み進めてみてください。おすすめです。
いじめられっ子のミナトのクラスに零という少年が転校してきた。ミナトと零は心を通わせるようになる。そして、「こっくりさん」をきっかけにして「学校の七不思議」を紐解くことになるが・・・。
よく考えたら、「こっくりさん」ほど時代を超えて子供の心を掴む「遊び」は他に無いのではないか。魅了されるのは大体小学生の間。「こっくりさんに祟られた」という類の噂を気にしながらも、誰もがこっそりと「こっくりさん」を呼び出したことがあるのではないでしょうか。私は、ありますよ!
読み進めながら、幼いころの思い出が重なりちょっとノスタルジックに浸ってしまう物語です。
本当にありそうな心霊現象や、謎めいた少年の行動。徐々に深まっていく謎。
ソフトタッチの暖かな描写で、ホラーなのにほっこりする不思議な物語なのですが、続きが気になって仕方ない!
たくさんの人に読んでいただきたい、素敵な物語です。
タイトルからして全面にこっくりさんを押し出した展開かと思いきや、自身の過去を振り返りながらついつい読み進めてしまう作品となっていました。
初回で大抵はインパクト重視な話で続きを期待させるものが多いのですが、読んだ後の余韻を楽しみ懐かしむことで、つい次話へ手を伸ばしてしまうようなそんな物語になっています。
また、話が少し進んだ先で昔ながらの定番な謎がでてくるのですが、子供の頃を思い出すにふさわしいな、と感じたと同時に話の幅が自然と広がったことに思わず笑みを漏らしてしまいました。
私のレビューがネタバレを極力しないようにふわふわとした表現を使っているので、伝わりにくいと思います。
なので、実際に読んでみるのはいかがでしょうか?
私は、次回のカクヨムコンでホラーを書きたいと思っていて、ホラーの研究をしているのですが、こういう形のホラーもあるんだ!とびっくりさせられた作品です。
主人公は決して幸せとは言えない境遇にいます、しかし、とあるキッカケでその孤独は解消され、少しずつ幸せに向かって歩き出します。そして、そのキッカケを与えてくれたものと一緒に、主人公は学校で七不思議に挑んでいきます。
少年の大切な「ひと夏の思い出」。物語が行き着く先は、ハッピーエンドか、それとも悲劇なのか?そんな不安とともに読み進めていくような物語です。
是非、読んでみてくださいね!