心が離れてしまった「双子」が、空白の時を経て歩み寄る。

「双子」というと、最初から「似ている」という前提がある気がします。
 顔の造り、または言動、そして行動。時々同じタイミングで同じ行動をしたり、同じことを発言したりすれば、猶更そう思うことでしょう。だからこそ「双子」と一括りにしがちです。

 しかし「双子」といえども、それぞれ別の人格があり、考えていることも感じていることも別のもの。同じ経験や同じ人とのかかわりがあれば似ることもあるかもしれませんが、それぞれ別の時間を過ごしているのですから当然です。

 それでも「双子」には、「似ている」ことが付きまといます。
 この作品ではその「双子の近さ」ゆえの苦しみが描かれていますが、最後はエピソードタイトルらしく、「ゆきどけ」のような温かな展開が待っています。

 近くて遠いような存在の「双子」のお話。
 気になった方は、読んでみてはいかがでしょうか。

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