SF? ラノベ? もしかしたらロボットアニメ?


 異世界ユグドラシルとの戦争がはじまって30年たった世界。
 当初優勢と思われた地球側は、敵の人型魔導兵器ハルクキャスターの出現によって、たちまちのうちの劣勢に立たされる。

 というような世界観の物語。
 主人公は統合軍の戦闘機パイロット・相模龍斗。そして、なぜか彼の家に転がり込んでいる敵の女性兵士フィアナ。なぜ? どうしてそうなった? という疑問は、本編読んでお確かめください。

 ストリーリーは、攻めてくる敵機動兵器を地球側が開発した機動兵器で迎撃する! という方向に進みつつも、龍斗の部屋に居候決め込んで、ご主人様のように振舞うワガママでドSなヒロインとのラブコメがメインのような気もします。ただし口当たりはビターです。

 設定はハードなSF調なのですが、異なる次元の世界が地球と同じ物理法則であったり、でも魔素という架空物質があったり、そのくせ住んでいるのがなんと人間と寸分変わらない生物で、しかも言葉が通じたりと、もうこれは、「ガンダム」以降「エヴァンゲリオン」以前のロボットアニメを彷彿させる設定。「マクロス」とか「バイファム」とか。
 機動兵器に関しても、メカニックの方々にスポットが当てられていたり、司令官がすっごく軽いノリの人だったりと、なんか「パトレイバー」を想起します。


 ラブコメとして読めば設定が緻密で、SFとして読むとご都合主義な部分もあるのですが、この中間の立ち位置がふしぎなぬるま湯感ですごく心地いいです。

 たぶんこれは作者さまが意図した形ではないのでしょうが、ラブコメでもなくSFでもなく、古いロボットアニメを彷彿させる不思議な緩さとハードさをもった心地よい物語世界。
 どこかに強烈に刺さるというよりも、この妙に嵌る心地よさがやめられません。

 これあれですね。寒い冬にぬるめの露天風呂に入って、もうそれっきり出られなくなるあの感覚。
 なんか、だらだらと読んでたら、そのまんまラストまで行っちゃいました。






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