18歳の主人公が、偶然にもヒロインと出会い、ドタバタラブコメみたいな展開から始まります。
敵であるはずのヒロインとの共同生活から始まるプロローグ。
とにかくツンツンなドSヒロイン・フィオナちゃんに翻弄されながらも、主人公・龍斗君は戦い、傷つき、前に進みます。
日常パートではちょっとメタな映画ネタも楽しめます。これは作者さんの趣味かもしれません。
とにかくかわいいヒロインにニヤニヤしてしまいました。
章単位で出会いから主人公周りの人間関係、戦闘とその後が丁寧に区切られているので、追っていてわかりやすい構成でした。
戦闘やロボット描写、設定がなかなかに格好いいです。
クールで頭が良くてドSという色の濃いヒロインと、押しに弱い初心な主人公の織りなすストーリーに、是非とも浸ってみてはいかがでしょう。
※最初ドMと書きましたがドSの間違いでした。失礼いたしました。
異世界ユグドラシルとの戦争がはじまって30年たった世界。
当初優勢と思われた地球側は、敵の人型魔導兵器ハルクキャスターの出現によって、たちまちのうちの劣勢に立たされる。
というような世界観の物語。
主人公は統合軍の戦闘機パイロット・相模龍斗。そして、なぜか彼の家に転がり込んでいる敵の女性兵士フィアナ。なぜ? どうしてそうなった? という疑問は、本編読んでお確かめください。
ストリーリーは、攻めてくる敵機動兵器を地球側が開発した機動兵器で迎撃する! という方向に進みつつも、龍斗の部屋に居候決め込んで、ご主人様のように振舞うワガママでドSなヒロインとのラブコメがメインのような気もします。ただし口当たりはビターです。
設定はハードなSF調なのですが、異なる次元の世界が地球と同じ物理法則であったり、でも魔素という架空物質があったり、そのくせ住んでいるのがなんと人間と寸分変わらない生物で、しかも言葉が通じたりと、もうこれは、「ガンダム」以降「エヴァンゲリオン」以前のロボットアニメを彷彿させる設定。「マクロス」とか「バイファム」とか。
機動兵器に関しても、メカニックの方々にスポットが当てられていたり、司令官がすっごく軽いノリの人だったりと、なんか「パトレイバー」を想起します。
ラブコメとして読めば設定が緻密で、SFとして読むとご都合主義な部分もあるのですが、この中間の立ち位置がふしぎなぬるま湯感ですごく心地いいです。
たぶんこれは作者さまが意図した形ではないのでしょうが、ラブコメでもなくSFでもなく、古いロボットアニメを彷彿させる不思議な緩さとハードさをもった心地よい物語世界。
どこかに強烈に刺さるというよりも、この妙に嵌る心地よさがやめられません。
これあれですね。寒い冬にぬるめの露天風呂に入って、もうそれっきり出られなくなるあの感覚。
なんか、だらだらと読んでたら、そのまんまラストまで行っちゃいました。
ちょっと「ミリタリー風味」のロボットもの「SF」です。ほんと、この手の物語って「絶滅危惧種」で貴重なんですよ。ただ「ラブコメ色」が強いので、読む人によっては「ラブコメ」と分類しちゃうかもしれません。
なんというか「ヒロイン」の「ツン」が強いんですよね。だから、読み進めていっても「どうしても」それが頭に残っちゃうんですよ。「世界の設定」とか「兵器の設定」とか「メチャクチャ」本格的だし、「メカニック」との会話も「メチャクチャ」かっこいいですよ!この小説。もう、私は、これだけで「KO」されたくらいですから。
ただ「昨今のトレンド」を考えると、こういう「本格的な設定のSF」って読んでもらえないですからね、多分、作者さまが「女の子」の可愛さを全面に出して、読者さまを誘導するという作戦なんだと思うんですよ。だから、ヒロインはこういう性格なんだと、と、私は思っています。
でも「ヒロイン」の可愛さ(←ほんと可愛いです。ツンデレ好きの私はメロメロです)で引っ張られて全話よんだからには、是非、ほかのSF小説、読んでもらいたいなと思います。「SF小説」って「異世界ファンタジー」に負けないくらい「面白い」んですよ。