命の森に暮らす15歳の本好きの少年セラは、精霊が見える。そのため、人々に蔑まれて孤独に過ごすことが多かった。
ある日、泉の畔で数年前に失踪したはずの父の声に呼ばれる。
声に誘われて辿り着いたのは、森の大樹だった。
子供が立ち入ることを許されていないその場所で、セラは森の大人たちがひた隠しにしてきた呪いの真実を知ることとなる――。
"少年は精霊を殺した。世界の片隅で紡がれてゆく命の物語"
というサブタイトルに惹かれて、この作品に出会いました。
内容も美しく残酷な部分もあり、それでも作者さまのお話の構成がブレることなく紡がれていて、読みがいのある作品になっております。
序盤の大樹の中に取り込まれ、その声を聞くシーンは印象的。神秘的でありながら、その恐ろしさに惹き込まれます。セラがなにを選び、どんな行動を取るのか・・・。
ぜひとも読んでみてください。
文章はかなり洗練されており、読みやすいです。
ただのファンタジーに物足りなさを感じている方、オススメです!
物語の主人公セラは、精霊の姿が見える特別な少年。
セラは訳あって森の精霊を殺し、家族と離れて、自らのルーツを探る旅に出ます。
深く悩み、傷つきながらも旅を続けるセラは、幾つもの不思議な体験をし、成長していきます。
知的でどこか陰のあるセラとは異なり、セラの弟トニヤは、純粋で素直な優しい少年。
トニヤは森を離れてしまったセラを探して、旅をします。
この物語は美しく残酷な世界観でありながら、心に染み入る温かさに満ちています。
それはセラの出会った人たちやトニヤが、愛に満ちているから。
旅をする中で出会う風景や、人々の息遣いが丁寧に繊細に描写されていて、世界観にすうっと引き込まれていきます。
神秘に満ちた、美しく切ない珠玉のストーリーです。
一話一話の読了後、心に染み入るような余韻がとにかく素晴らしい作品です。
ぜひご一読を♪
この物語を読むとき、いつも「絵本を捲るようだ」と思う。それほどまでに鮮明に、主人公セラの住む世界の映像が目に浮ぶ。
精霊の姿を見ることが出来るセラはいつも孤独で、家族にも本当の気持ちを話すことが出来ない。そんなセラはある日突然いなくなった父の姿を求め、精霊に導かれ大樹の元を訪れる。
この冒頭の物語だけで完結としていいほどのスケールに圧倒される。だが、物語はここからだ。
セラは壮大な旅にでて、幼い弟トニヤが兄を追う。
旅先で出会うユニークな人々、そのふれあいの中でセラとトニヤは成長していく。この物語には、家族愛や兄弟愛、そして少年の成長など様々な要素を含んでいる。
セラは求めるものに出会えるのか。彼の旅の終点はどこにあるのか。
端正な文章で綴られた壮大なファンタジー。絵本を捲るような美しさと、映画を見るようなスケールの大きさ。
この物語を読まないのは、勿体ない。是非多くの方に読んで欲しい!
休日に布団を被ったまま、あるいはあえて、喧騒の満ちるカフェでコーヒーを片手に読んでもいいかもしれない。
とにかく、スマホやパソコンでは足りない。
主人公のセラやトニヤ、彼らを取り巻くキャラクターたちの語る言葉には重みがある。これはたぶん、地の文に対して会話文が極端に少ないからなんだろう。
それゆえに、心にすんなりと沁みいってくる。先を読めば読むほど、物語が進むほど、彼らの言葉の重みが増してくる。一言一言に彼らの感情が乗っている。たしかに伝わってくる。決して僕の気のせいではないはず(笑)
情景描写や心理描写に関しましては、その叙情豊かな文章に、ただただ圧倒されます。事細かに描かれていますが、それでいて文章のリズム、テンポがいいので非常に読みやすくなっています。
作者様の練り上げられた描写は、半強制的にセラたちの世界へと連れていってくれます。
だからこの物語は、展開が遅いのがいいんです。ファンタジーとして静謐で、ゆっくりと真実へ向かっていくのが面白い。
読んでいるときの時間の流れがゆっくりに感じる。
切実に、文庫として読みたいと思わされたファンタジー小説。
まだ読んでおられない方、ぜひおすすめです。
精霊が見える少年、セラ。彼はその特質から森の住民に爪弾きにされ、孤独な生活を送っていた。セラの家族も、ある理由から冷遇を受けている。
ある日、セラは泉の畔で5年前に失踪した父の声を聞く。愛する父の声を追って森に分け入ったセラが出会ったのは、樹齢千年の巨木だった───
一章まで読了した時点での感想ですが、非常に完成度の高い物語だと思います。
森の風景と『命の森』が抱える秘密、父の失踪の謎、セラの孤独感や怒りなどが美しい文章で綴られ、特に森の秘密が明らかになる場面の描写は眼前に映像が迫ってくるようで、鬼気迫るものがあります。
愛する父の思いを受け、神聖なる大樹に火を放ったセラ。この先彼が辿る運命を最後まで見届ける所存です。
この作家さまの作品はとても読みやすく、そして間違いなく面白い。
昨今の流行りの異世界やゲーム世界的ファンタジーが苦手な方も楽しめる内容だと思います。全力でオススメします!