図書室で出会いたかった物語

精霊と交流する少年セラの旅路をたどる、上質なファンタジーです。優しくも残酷な世界の理を求める、少年の心の成長と家族との絆が丁寧に描かれていきます。

浮わついたところのない筆致と選び抜かれた言葉。情景描写が細やかで、空気感や彩りを感じます。
彼の暮らす森に始まり、たどり着いた町、船、暖かい国寒い国、様々な景色が豊かに描かれる旅行記のようでもあります。
私が子どもの頃に学校の図書室でこの物語に出会っていたら、夢中で読んだでしょう。

故郷の秘密を知ってしまったが故に森を出たセラは、最後に何を選び取るのか。静かに見守りたくなる作品です。

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