これほどまでに情熱的な愛を見たことがあるか?

いや、ない。


カクヨムではたくさんの恋愛小説が投稿されていますが、これほどまでに胸をぐっと掴まれた物語は、おそらくはじめてです。

舞台は奈良時代。
十歳の少女、古志加《こじか》は三虎という名の青年に命を救われます。
まだまだ子どもの古志加は優しくしてくれる三虎に対して、自分の気持ちに気づけません。

一方の三虎も古志加を女の子ではなく、男の子と勘違いしている模様。
この恋は、ちょっとやそっとじゃあ進みません。

物語が進むと同時に少女から女へ、大人へと変わっていく古志加。
おっ、ここで二人の関係性も変わってくるかな?……と思いきや、じれじれもだもだが続きます。

あ〜、もう、じれったいなぁ。
しかし、それがまたいいのです。読者の心を代弁して、登場人物たちが語ってくれます。古志加が所属する卯団の人たちは、みんな良い人です。みんな古志加の恋を応援しています。

読者も同じく。コメント欄の熱さ!びっくりです。
そうなのです、古志加という女性はいつも一生懸命で純真で、ただひたすらに三虎を想っているのです。


古志加と三虎の恋の行方は、是非ともこのお話を読み進めていただきたいので割愛しますが、ここでもうひとつ推したいのが脇を固める登場人物たちです。


古志加を妹のように思い、やさしく導いてくれる人、
同じ衛士として古志加を気遣いながら見守ってくれる人、
その激しい気性からか、古志加に意地悪をしてしまう人、
成長して魅力的になった古志加に恋をしてしまう人。

書ききれないですね(苦笑)


奈良時代というと一見、馴染みがなく難しそうなイメージがあるかもしれません。でも、大丈夫。作者さまの描かれる美しい文章にすっと入り込めます。

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